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《チリのボルソナロ》AP通信「カスト氏父はナチ党員」 大統領選決選投票に影響も?

カスト氏(Twitter)

 チリの大統領選で19日に行われる決選投票に進んでおり、「チリのボルソナロ」との異名もとる極右候補のホセ・アントニオ・カスト氏の父親が、ドイツでナチスの党員であった事実が判明した。9~10日付現地紙、サイトが報じている。
 ドイツ移民の子供として知られているカスト氏の親族がナチス・ドイツの支持者であったという疑惑は、以前から囁かれていた。だが、カスト氏はその疑惑に関し、「第2次世界大戦中のドイツの多くの若者がそうであったように、ナチスを支持するよう強制されていただけで、支持していたのではない」と主張していた。
 だが、AP通信がドイツ連邦のアーカイブから入手した資料によると、カスト氏の父親のミヒャエル氏は18歳だった1942年にナチスに入党していたことが明らかになった。
 この頃のドイツでは従軍は義務だったが、入党は個人の意思に委ねられていた。当時のナチ党員は710万人ほどとされているが、それは当時の同国の人口の10%ほどにすぎない。
 だが、ミヒャエル氏がユダヤ人虐殺などの行為に参加した記録はないという。ドイツの歴史学者の見解では、同氏はナチスの青年隊の所属で、当時の年齢から見て、虐殺のような行動に加わるには若すぎるとの見方を行っている。

 ミヒャエル氏は第2次大戦終了後の1950年にチリにわたり、レストラン経営者として成功を収めた後、2014年に90歳で亡くなっている。
 カスト氏は同国の独裁者だったアウグスト・ピノチェ元大統領の信奉者として知られているが、同氏の兄のミゲル氏もピノチェ政権で労働相と中銀総裁を務め、同大統領の推進した新自由主義経済に貢献している。
 「ブラジルのボルソナロ」との異名もとるカスト氏は、女性省、性格差是正省の廃止といった過激な政策を掲げ、11月の大統領選一次投票で1位となった。現在は、極左候補のガブリエル・ボリッチ氏と共に、19日の決選投票に備えている。
 カスト氏の父親の件が最初にネット上で言及されたのは今月1日で、同国内でも衆目を集めている。決選投票を控えた時期にこのような内容の報道が行われたことが、カスト氏にどの程度の影響を与えるかも注目されている。