2013年1月27日にブラジル南部リオ・グランデ・ド・スル州で起きたライブハウス「KISS」での火災を巡る陪審裁判は10日間に及ぶ長丁場となったが、10日に結審となり、18~22年の判決が言い渡されたと10日付アジェンシア・ブラジルなどが報じた。
学生の街としても知られるサンタマリア市で起きた事件は、セルタネージャのバンド、バンダ・グリザーダ・ファンダンゲイラが演奏中、発炎筒のように炎が高く上がる花火を使う演出を行った事で、有毒ガスを発する素材を使った天井に引火して起きた。
瞬く間に黒煙が立ち込めた事や誘導灯が機能していなかった事、出口が一つしかなかった事などで、退路を断たれて折り重なるように倒れ、踏みつけられたり、一酸化炭素中毒で亡くなったりした人が続出。学生を中心とした死者は242人、負傷者は636人で、後遺症に悩まされている人も大勢いる。
事件から8年11カ月を経て始まった裁判は、全部で34人が証言台に立つ予定だったが、同州裁判史上で最長となる10日に及ぶ裁判となった事もあり、犠牲者12人、証人13人、参考人3人の計28人の証言を聞いた段階で審理が打ち切られる事となった。
今回の裁判では、KISSのソーシオ(共同経営者)2人(エリサンドロ・カレガロ・スポール、マウロ・ロンデロ・ホフマンの両被告)、バンダ・グリザーダのヴォーカリストのマルセロ・デ・ジェズス・ドス・サントス被告、音楽プロデューサーのルシアーノ・ボニーリャ・レオン被告の4人が全員、242人の殺害と636人の殺人未遂の罪で有罪とされた。
各人の刑期はスポール被告が22年6カ月、ホフマン被告が19年6カ月、サントス被告とレオン被告は18年となっている。
裁判官は息子や娘を突然失った遺族達の悲しみの深さなどにも触れ、4人の逮捕を命じたが、同州地裁の判事が陪審裁判の前にスポール被告の弁護士が申請していた人身保護令の適用を認めていたため、全員の即刻逮捕は先送りとなった。逮捕の時期は、地裁判事同士の協議の後に決められる事になる。