保健省のコンピューターが10日から13日にかけて、2度にわたるハッキング被害を受けた。また、保健省以外にも、連邦政府内のコンピューターに対するハッキング行為が相次いだ状態となっている。13、14日現地紙、サイトなどが報じている。
保健省のコンピューターが最初にハッキング被害を受けたのは10日未明で、保健省のサイトとアプリ「コネクテSUS」のサイトなどが機能しなくなった。コネクテSUSはワクチン接種の証明を取るためのアプリで、利用者たちから「アプリに入れない」「接種証明の画面が出ない」といった苦情が殺到。調べた結果、ハッキングにあっていたことが発覚した。
バイア州ではこの日から高速道でワクチン接種の証明書の提示が求められることになっていたが、このアプリが作動しなかったために高速道に入れず、一般道に降りざるを得なかった人が相次いだ。
ピアウイ州では、ワクチン接種を受けた人の情報を登録するためにいつもとは異なるプログラムを使う必要が生じ、登録作業に手間取るなどして、長蛇の列が生じた。アクレ州でも、紙の証明書をなくしたりした人が、電子版の証明を提示できず、2回目の接種や補強接種を受けられなくなる事態が生じた。
登録作業や過去の情報へのアクセスに問題が生じたのはワクチン接種に関するプログラムだけではなく、死者や感染者の登録システムでも、サイトに入れない、登録に手間取るなどの問題が発生。死者や感染者、重症の呼吸器疾患その他の情報を掲載するサイトは、内容が更新できず、10日以降、アクセスさえできなくなっている。
保健省は連日、新型コロナの死者や感染者に関する報告書を出してはいるが、内容が更新されていない州が10州近くあり、実態把握が難しくなっている。
保健省はこの被害を受け、同日中に連邦警察にハッキングに関する捜査を依頼した。同省によると、ハッキングによって個人情報が漏えいするといった被害は起こっていないという。
だが、同省がワクチン接種に関する情報の更新は終了と発表した直後の13日、保健省は再度のハッキング被害を受けた。今度は保健省内部の情報交換を行ったりするイントラネットなどに障害が生じ、13日未明からサイトが全く機能しなくなった上、メールや電話のやりとりさえできなくなったという。
保健省は当初、2度目の攻撃を否定していたが、13日夜、マルセロ・ケイロガ保健省が2度目のハッキング被害が発生したことを認めた。
同保健相は「全力を尽くし、一刻も早い回復を目指す」と語った。ケイロガ氏は「犯罪者がシステムやデータバンクに侵入することはできない」との言葉で安全性を主張したが、「だが、混乱を起こしたことは事実だ」とし、苛立ちを隠さなかった。
だが、その後の調査で、ハッキングの被害は保健省だけでなく、連邦政府全体に及びつつあることも明るみになった。
14日には大統領府のサイトが一時アクセス不能となり、ボルソナロ大統領の予定の発表が遅れた。大統領府社会通信局(SECOM)によると、大統領の予定の公表は行われていたが、ネットが不通となり、閲覧できなくなっていた。
また、国庫庁(CGU)も、10日夕方に同庁のコンピューターにハッカーが侵入したことが確認されたと発表した。さらにパラナ連邦研究所(IFPR)も、10日にハッキングによる被害を受けたことを公表している。両機関ともデータのバックアップなどはしており、問題はないという。
大統領安全保障室(GSI)は13日夜、(クラウドを狙うという形で)「連邦政府全体を対象としたサイバー攻撃が行われているようだ」と発表した。