11月26日、在外有権者のネット投票の導入に向け、邦人女性3人が署名サイト「Change.org」で立ち上げたプロジェクトに目標人数の1万筆が集まった。今後、日本政府に署名陳情を提出に向けてスケジュールの調整を行っている。
署名活動発起人のひとりであるイタリア在住邦人の田上明日香さんは「皆様のおかげで目標数1万筆到達し、現在1万2千筆以上の署名が集まっています。ご協力いただき誠にありがとうございます」と感謝の言葉を寄せた。
「在外ネット投票の導入は、問題が多い現行の在外投票制度の劇的な改善につながると信じています。本署名を提出後も早期導入実現を目指し、引き続き国と議論を重ねていく所存です。今後ともよろしくお願いします」と理解を求めた。
同署名活動は現在の在外選挙制度の改善案としてネット投票の導入を求めて、11月4日にイタリア在住の田上明日香さん、ドイツ在住のショイマン由美子さんとアメリカ在住の子田稚子さんらの3人が共同発起人となって立ち上げられた。
今年10月実施した衆議院選挙は解散から選挙までが最短であった事とコロナ禍という状況で在外有権者の「郵便投票が間に合わない」「在外公館投票に行けない」という声がSNS等で多数あがった。
具体的なスケジュールとして、2022年夏の参議院選挙までに在外でのネット投票導入の実証実験や、2025年参院選までに同制度の確実な全体運用を求めている。
発起人のひとり田上さんは9月中旬に選管へ投票用紙請求書を速達で送付したが、届いたのは10月6日。速達でも20日間かかる状況が判明した。この頃からツイッター上で「郵便投票間に合わない」と訴えていた。
投票用紙は14日に届いたものの、間に合わないと判断し10月20日に急遽「在外公館投票」に切り替えた。投票のために1泊し往復8時間かけて現地の駐日本イタリア大使館へ向かったという。
署名活動立ち上げにあたり、SNS上であがった在外投票のトラブルに関しても集約し分析している。伯国では「在外公館は遠くて行けず、日伯間の郵便が止まっていて郵便投票もできない」「在外公館投票が終ってから知らせが届き、投票できなかった」といった例があったという。
本紙もサンパウロ市在住の邦人の声を取材すると、宮川信之さん(57歳、神奈川県)は「ネット投票の導入は大賛成。2年ほど投票に行っていないが導入されたら行く」と応えた。蛯原忠男さん(72歳、宮崎県)も「今これだけITが進んでいるのだから、本人確認の問題をクリアして導入できたら素晴らしい。今まで行けなかった人も出来るようになる」とコメントを寄せた。海老澤千佳さん(53歳、茨城県)は「行く手間があり在外選挙人登録もしていないので、ネット投票が導入されるなら登録して投票もしたいです」と語った。
署名は「Change.org」の同プロジェクトページ(https://chng.it/tzmCGL4Xnk)からできる。