国外就労者情報援護センター(CIATE、二宮正人理事長)が恒例の「国際シンポジウム」を3日と4日にユーチューブ上(https://www.youtube.com/c/CIATEvideos)で開催した。今年は「コロナ禍における在日ブラジル人の挑戦と2022年に向けた展望」をテーマに日伯両国から各分野の講演者を招き、日ポ両語の同時通訳で配信された。各言語の動画は現在もCIATEユーチューブ上で視聴が可能だ。
シンポジウムではコロナ禍を中心に据え、日伯間の被害状況を伝えると共に、在日伯人労働者の高齢化問題や、子弟を取り巻く教育環境など日本で生活する在日伯人達の課題が強く問われる内容となった。
二宮理事長は「これまでは日本に働きに行く人のための情報が主だったが、現状はコロナ禍のため訪日できずシンポジウムもオンライン開催が続く現状。オンライン聴講者も感心が強いテーマを揃えた」と説明する。
1日目、二宮理事長は開会の挨拶で「パンデミックも永久に続くものではない。正常な生活に戻った際にCIATEの情報が訪日、または帰伯される方々の一助になりますよう協力したい」と挨拶した。
二宮理事長からの開会挨拶後、桑名良輔在聖日本国総領事、レイモンド・サントス・ロチャ・マグノブラジル外務省大使サンパウロ代表部署長、ブラジル日本文化福祉協会の山下譲二評議委員会長らも祝辞を寄せた。
1日目には聖州高等裁判所公認紛争解決と市民権擁護に関する司法センター(CEJUSC)代表であるヴァレリア・ラグラスタ判事が「CEJUSCの活動」について講演した。
日本から公益財団法人海外日系人協会の田中克之理事長による「在日日系社会のコロナ禍における現状と課題について」やNPO法人愛伝舎(あいでんしゃ)の坂本久海子(さかもと・くみこ)代表による「三重県における共生への取り組み2021」が講演された。
2日目は二宮理事長がブラジル国内のコロナ禍状況を、サンタクルス日本病院のパトリシア・クガ医師が同病院のコロナ対処を講演。コロナ禍のブラジル学校、日本語指導を要する児童生徒、在日日系人労働者の高齢化など在日ブラジル人の取り巻く環境を知る事ができる講演が行われた。
在日ブラジル人に関する講演のほか、帰伯者コミュニティーのプロジェクトネットワークから吉實(よしざね)ヨシオ代表による活動紹介や、CEJUSCでウェブ調停を行う際の日本での手続きについて石川エツオ弁護士が説明した。
同日にはエドゥアルド・サボイア駐日伯大使、レオナルド・ゴルグーリョ・フェルナンデス伯大使、ジョアン・メンドンサ・リマ・ネト在東京伯領事、吉田暁郎厚生労働省職業安定局外国人雇用対策課課長らも出演した。
開催後、二宮理事長は取材で「リアルタイムでの視聴者は少なかったが、後日多くの人が視聴した様で、我々としては大成功」とコメントを寄せた。
今年のシンポジウムも報告書として冊子にする予定。報告書はCIATE30周年にあわせ22年3月末から4月初め頃に発刊を予定。以前の報告書はCIATEのホームページ(http://www.ciate.org.br/ja/)上からダウンロードが可能。
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