15日、元サンパウロ州知事のジェラウド・アウキミン氏(69)が、創設時から33年間所属していた民主社会党(PSDB)に離党届を提出した。これで、かねてから噂されてきたブラジル社会党(PSB)への移籍と、ルーラ元大統領(労働者党・PT)の副候補としての22年大統領選出馬が現実味を帯びてきた。15、16日付現地紙、サイトが報じている。
アウキミン氏はサンパウロ市のPSDB支部に離党届を出した後、ツイッターで、「新しい時代に向けた変化のときだ」「父から教えられてきた、他者を尊敬し、人にも自分にも忠実であること、人格の強さの3点は忘れたことはない」と語り、「近日中に新しい進路を発表する」と述べている。
PSDB側も公式ツイッターでアウキミン氏がブルーノ・アラウージョ党首に電話をかけ、離党届を出したと伝えたと発表。これまでの同党での功績を振り返り、感謝を示している。
アウキミン氏は1988年の創設当初からのPSDB党員で、その間に下院議員を2期、サンパウロ州副知事だった2001年に党創設者のひとりのマリオ・コーヴァス知事(当時)の逝去に伴って昇格。そこからサンパウロ州知事を計4期務めるなど長期政権を築いた。その間、大統領候補となること2回など、PSDBを代表する政治家だった。
だが、大統領選に出馬した2018年に、サンパウロ州知事候補だったジョアン・ドリア氏がキャンペーンの最中に、大統領選で優勢だったボルソナロ氏の支持者に対して「ボルソドリア」と称して自分に票を入れるよう、呼びかけたことで仲が決裂。
ドリア氏は2016年のサンパウロ市市長選で政界入りしたが、その際に彼を後押しし、政界への足がかりを作ったのがアウキミン氏だった。だが、2018年の統一選以後、ドリア氏が党内で躍進すると共に、アウキミン氏は居場所を失っていった。
アウキミン氏の離党を決定付けたのは、ドリア氏が同党からの来年の大統領選への公式候補に選ばれたことだ。ドリア氏は来年のサンパウロ州知事選には、副知事で最近になってPSDBに移籍したロドリゴ・ガルシア氏を推しており、アウキミン氏が知事選に打って出る可能性も摘み取っていた。
アウキミン氏の今後の進路は、PSB入りが確実視されている。PSDB離党前日の14日、アウキミン氏はPSB党サンパウロ州支部で、マルシオ・フランサ同支部長と会合を行った。彼はアウキミン氏がサンパウロ州知事を務めていた際、15年から副知事を務め、18年には知事となっていた。
この会合の詳細は明らかにされていないが、会合には、フランサ氏の息子のカイオ・サンパウロ州議、同党サンパウロ州支部事務局長のマリオ・ルイス・ギデ氏も同席していた。
また、16日には、マルシオ・フランサ氏が自身のブログで、「ルーラ氏とアウキミン氏のシャッパ(連立名簿)は99%実現する」との断言まで行っている。
一方のルーラ氏も8日の労組幹部との会合で、アウキミン氏に関し、「シャッパが組めるよう動いているよ」と、噂を認める発言を行っている。
コレイオ・ブラジリエンセ紙は15日付の電子版で、ルーラ氏とアウキミン氏のシャッパを予想した上、サンパウロ州知事選に関しては、フランサ氏が出馬し、同知事選のPT候補と目されていたフェルナンド・ハダジ氏が上議選に回るだろうとの憶測を立てている。ルーラ氏とアウキミン氏のシャッパの発案者はハダジ氏とも言われている。
ただし、ハダジ氏はこの報道後、自分が上議選に出馬するとの説は根拠のない虚報と反論している。
またフォーリャ紙は、「ルーラ氏とアウキミン氏のシャッパ発表は間違いなく、来年には正式発表となるだろう」と報じている。