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《ブラジル》ワクチンでも否定主義横行=大統領に保健相、最高裁=新変異株感染者フェスタに

保健相の姿勢に苦言を呈すアントニオ・トレス氏(16日付G1サイトの記事の一部)

 【既報関連】新型コロナのオミクロン株でクラスター感染が起きる中、国家衛生監督庁(Anvisa)が16日に5~11歳児へのファイザー社製ワクチンの接種承認と発表して安堵した父兄が多いが、大統領や閣僚は接種進展を阻害するような言動を連発して物議をかもしている。
 新変異株の感染力の強さは英国の感染者の45%が同株感染である事でも明らかだ。ブラジルでは保健省サイトのハッキング以降、地方からの情報登録が困難で、感染者や死者の実態も把握できない。
 新変異株感染者が10人に達したサンパウロ市では、外国渡航経験はないのに新変異株感染が判明した男性との濃厚接触者7人の同株感染判明後、感染者が90人のフェスタに出ていた事などで、90人(後の市長発言では300人以上)の経過観察中と発表した。
 男性の感染源や濃厚接触者への感染範囲は不明だが、英国では市中感染が増えて水際対策が意味を失った上、英国からの入国者を制限する国も出始めた。
 だが、ブラジルはまだ水際対策が不可欠だし、リオ・グランデ・ド・スル州の感染者の1人は米国在住者だった事などで、入国制限の対象を広げる必要も言われている。

 また、大統領は反対だが、ワクチン接種の促進と旅行中、入国後の安全性を高める意味の接種証明の提示義務化を求める声は高い。そのため、ルイス・ロベルト・バローゾ最高裁判事が10日に出した接種証明の提示義務化の司法判断は知事らから歓迎されたが、大統領や一部の政府関係者は快く思っていない。
 その事は、ワクチン接種は「ポルカリア」(汚物)と評するビデオを大統領が流した事や、接種証明の提示義務化を認める発言後も詳細な手続きを定めた省庁令を出そうとしない事でも明らかだ。
 シロ・ノゲイラ官房長官は16日の大統領官邸での会合後、「省庁令はバローゾ判事の司法判断に対する最高裁の決定後に出す」との意向を表明した。だが、最高裁での電子投票は8対0で司法判断支持が固まった時、(ボルソナロ大統領の指名で就任した)ヌネス・マルケス判事が全体審理を要請。これで、同件の審理は来年2月まで延期された。
 他方、ケイロガ保健相は16日、「子供への接種実施は専門家や各機関の声を聞いてから決める」と語り、アントニオ・トレスAnvisa理事長や知事らの反発を招いた。
 また、Anvisa職員組合は、子供へのワクチン使用承認発表後に大統領が行った同庁担当者らを脅迫するかの発言を拒絶し、大統領の言動は「ファシスト的」と批判した。