日本国在サンパウロ総領事公邸で2日、昨年度の春と秋に日本国大使館推薦で叙勲を受章した坂尾英矩氏、中谷アンセルモ氏、桂川富夫氏、栢野定雄氏の4人から伝達式が行われた。伝達式にはブラジル日本文化福祉協会、サンパウロ日伯援護協会、ブラジル日本都道府県人会連合会、日伯文化連盟、ブラジル日本商工会議所の各代表が出席。受勲者の家族や関係者などが参加し、桑名良輔総領事から賞状と勲章が贈られた。
1956年に移住し、在サンパウロ総領事館の現地職員を務め、天皇陛下(徳仁親王殿下当時)が1982年にブラジルを国際親善のため訪問された際、ブラジルの伝統音楽である「ショーロ」の御前演奏や当地音楽に関する御進講を申し上げる大役を果たした板尾英矩氏(90歳・神奈川県)。中学では軍事教練で上官の命令を伝えるラッパ隊として、高校では演劇部の裏方、大学でもジャズバンドのベースとして活躍するなど、縁の下の力持ち的な役回りが多かったという。
「この叙勲が伝達された時、嬉しい気持ちよりも驚きの気持ちが先立ちました。まるで、裏方の人間がまるでいきなり表舞台に引っ張りだされて、スポットライトが浴びた気分です。長い人生ずっと裏方をやってきたので、どこかで誰かが見てくれてたんだな…と感謝しています」と喜びの表情を浮かべた。
古河電気工業ブラジル現地法人で社長として長らく務めた後、アリアンサの理事長にもなり、日伯両国に貢献した中谷氏(78歳・二世)は、「今回の受勲は本当に光栄なこと。古河電気やアリアンサなどで日伯間に少しは尽力できたと思いますが、これからも協力できるよう務めたい」と感想を述べた。
サウ―デ文化体育協会会長や日本人ブラジル移住百周年および110周年の表彰小委員会委員長、文協の農業関連交流委員会委員長を務めた桂川氏(74歳・二世)は、「私のようなものがこのような立派な章をいただき、本当に身に余る光栄です。この受勲を糧にして、より一層、日系社会の活動に取り組みたいと思います」と笑顔を浮かべた。
ニッポンカントリークラブの会長や文協副会長を歴任してきた栢野さん(86歳・二世)は、「今回の受賞は周りの支えあってのこと。自分だけでなく、仲間達皆で受勲したと思って受け止めています。これからも日系社会の為に尽力したいです」と噛み締める様子で胸中を述べた。
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