米国の信用格付けの大手調査機関、スタンダード&プアーズ(S&P)が24日、ブラジル国債の外貨建て長期債のランクをこれまでのBBBからBBBマイナスに落とした。これは世界各国に対するブラジルの投資信用度が落ちたことを意味する。連邦政府は昨年からこの格落ちを恐れていたが、その判断が今下されたことに驚きを隠せないでいる。25日付伯字紙が報じている。
今回、S&Pがブラジル債の格落ちを決めた主な要因は、「財政悪化」「経済低成長」「政府目的のための公共銀行利用」「電気代の調整の遅れ」、「基礎的財政支の黒字目標達成のための免税額削減」などだ。
「財政支出切り詰め政策はあるものの、国内総生産の1・9%分相当の基礎収支黒字という2014年度の目標達成は、よほどの収入が入って来ない限り困難だろう」とS&Pの報告書は評し、さらに「最近、電力不足を補うための対策を打ったが、少雨の影響でコスト高の火力発電を使わざるをえないのに、選挙の年で電気代の値上げが出来ないことが大きな障害となるだろう」と分析している。
このS&Pの決定は、2週間前に同社の専門家が来伯して行なった調査をもとに下された。
今回の信用格付引き下げはブラジルにとっては痛いものだ。同社のランクでは「AAA」「AA」「A」が投資信用の一流クラス、「BBB」と「BBBマイナス」が準一流クラスとされるが、「BBBマイナス」は投資信用におけるクラスの中では最も低いランクだからだ。
この報告は、ジウマ大統領やギド・マンテガ財務相が中央銀行のアレッシャンドレ・トンビニ総裁らの銀行家と会合を行なっている際に届き、一同を驚かせた。信用格付引き下げは昨年から囁かれていたが、政府は「ここ2年の経済的に苦しい時期は脱した」と理解し、市場関係者も「格落ちが起きても数カ月先」と考えていたからだ。
マンテガ財相はS&Pの決定に、「つじつまがあっていない」と憤慨した。「経済成長が低いというが、08年の経済危機以降、ブラジルは17・8%も成長している。これはG20参加国の中でもトップクラスだというのに」と反論した。
だが、さらに悪いことに、アナリストの中には「来年にはさらなる格落ちがありえる」と分析している人がいる。そうなれば今度は「BBプラス」で、ここになると投資信用の一流国とは見なされず、「投資を検討してもいいレベル」まで落ちることになる。
政府はS&Pの決定がフィッチやムーディといった他の格付け会社の基準に悪影響をもたらすことを恐れている。奇しくも2008年にいち早くブラジルの信用をあげたのはS&Pだった。
野党の大統領候補たちは格落ちの報に即座に反応し、ジウマ政権を批判した。アエシオ・ネーヴェス氏(民主社会党・PSDB)は「ごまかし会計を続けてきたツケだ」と批判し、エドゥアルド・カンポス氏(ブラジル社会党・PSB)は「今の政府では、この悪化を止めることは出来ないだろう」と語った。