【マリンガ発=小倉祐貴記者】移民百周年記念事業の一大企画だったパラナ州マリンガ市の「日本公園」が完全竣工し、12日午後2時半から同地で落成式が行われ、約千人が来場した。総敷地面積は約10万平米、半分以上を占める日本庭園はブラジル国内最大。500以上存在するという日本国外と比べても有数の規模だ。2006年5月10日(市制記念日)の定礎式から8年。同市、マリンガ文協(ACEMA)、企業の協力が三位一体となってつくり上げた日本文化の発信基地が誕生した。
式典にはロベルト・プピン市長、シルビオ・バーロス前市長、西森ルイス連邦下議、在クリチバ日本国総領事館の池田敏雄総領事、JICAブラジル事務所の室澤智史所長、公園の運営・管理を行う民間団体OSCIPの白石正吉会長らが謝辞、祝辞を重ねた。
副市長時代から計画に携わるプピン市長は、「05年はゴミ置き場だったこの場所が、立派な公園となったことは一市民としても喜び。これからも官民一体での運営を」と話し、バーロス前市長も「涙が出るほどの喜び。土地寄付者らには改めて感謝申したい」と述べた。
公園内の日本庭園は遊歩道、ため池、茶室などで構成され、ほかにも体育館、レストラン、大講堂などを設置し市民が憩の場として利用するだけでなく、柔道や民謡民舞など日本文化を普及、発信する場所としても使用される。
マリンガに住む山本静子さん(86、長崎)は、「市内の中心から少し離れているけど、できあがるにつれ近く感じるようになった。親近感が湧いたのかしら」と笑顔を見せ、「市役所から全面支援されるコロニアは珍しい。先人らが信頼を勝ち取ってきたおかげ」と誇らしげに話した。
日本庭園はJICAや姉妹提携を結ぶ加古川からも造園師を招き、地元関係者へ剪定技術などの伝授にも努めてきた。その内の一人で、建築技師のシグマル・ナヴィチさん(51)は、「全く初めての経験だったが、建設に関われた事はブラジル人として誇り」と振り返り、日本公園チーフマネージャーの富居クリスチーナさんも、「非日系も庭造りに関わったが日本の技術を出来る限り吸収し、似せたモノでなく本物を実現できたのでは」と自信をのぞかせた。
ACEMA元会長の勝山三夫顧問は、「ブエノスアイレスの日本庭園のような健全な運営を期待したい。これからも市政などと協力し合っていければ」と語った。