先週、愛知県知立市で日系ブラジル人男性が警官の銃を奪い発砲した事件が起きた。日本語の報道を見ると、総じて「警官の銃を奪って発砲したブラジル国籍の男を逮捕。家宅捜索で違法植物片が見つかった」との事実関係だけが報じられている。
一方、在日ブラジル人向けポ語ニュースサイトを見ると、ツダ・ラウロ・ヤスオ容疑者は「もともとは穏やかな性格だったのに重い精神疾患を患ってから変わった」と同情的なニュアンスで書かれている。
いわく日本人女性との間に子供が2人いるが離婚し、人材派遣会社で仕事をしていた。同容疑者の健康状態を心配し、当地の家族友人からは「早く帰ってこい」と労わる声が送られていたなど。
穏やかなはずの人物が、なぜ警官の銃を奪い発砲事件を起こしたのか…。両報道の間には、単なる違和感以上の深い溝があるのではないか。(宮)