連邦最高裁は21日、「検察は選挙絡みの容疑に関し、高等選挙裁判所(TSE)の許可を得なくても捜査に踏み切れる」という提案に圧倒的多数で賛成し、「検察が選挙絡みの容疑で捜査するときはTSEの許可を得なければならない」という13年12月のTSEの決定を差し止めた。この判決は現TSE長官のディアズ・トフォリ判事の意向に反対するものとなった。22日付伯字紙が報じている。
最高裁の判事投票の結果は9対2の圧倒的多数で、トフォリTSE長官に同調したのはTSEで現副長官をつとめるジルマール・メンデス判事のみだった。
12年の地方選挙までは、選挙にまつわる政治家の容疑に関する捜査は検察か選挙裁判所のどちらかが求めればはじめることが出来た。
だが、13年12月にTSEはそれを覆し、検察はTSEの判断なしに選挙法違反に関する容疑の捜査は出来ないことになった。TSE報告官としてこの見解を推進したのがトフォリ氏で、当時の長官だったマルコ・アウレーリオ・メロ氏はそれに反対していた。
トフォリ長官は、検察からの捜査要求の膨大さや、検察側が投票直前に容疑を暴露することが候補者への侵害にあたるなどとして、検察主導の捜査に反対していた。だが、他の最高裁判事の見解はそうではなかった。
かつて検察庁にも所属していたジョアキン・バルボーザ最高裁長官は、「明らかにしなければならない容疑が大きければ大きいほど、国はそれを明らかにするための手段を強化する必要があるだろう」と語り、TSEによる規制に反対した。
また、ルイス・ロベルト・バローゾ判事は「検察に独立した権限を与えないことは憲法違反に当たる」として違憲性を主張した。
元TSE長官でもあるカルメン・ルシア判事も「検察は国民側の弁護士にあたる。選挙裁判所内でその役目を奪うのは、望ましいこととは思えない」と反対した。
今回の審理は、連邦検察庁のロドリゴ・ジャノット長官の依頼で行なわれた。今回の最高裁審理に参加した連邦検察庁のエラ・ヴィエッコ・デ・カスティーリョ選挙検察副長官は、「検察の捜査活動を保障してくれるという意味で、今回の最高裁の決定は非常に重要だ」と満足している。
トフォリ長官は以前に労働者党(PT)の顧問弁護士をつとめ、実兄で現在サンパウロ州マリリア市の市長をつとめるジョゼ・チシアーノ氏もPT党員ということもあってか、メンサロン裁判などのPT絡みの裁判で、PTに寛容な判断を下すことが多いと指摘されている。