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水野龍の孫 ジョナタンさんを支援=企画展でバッグの収益を=ブラジルコーヒーも販売=佐川町水野ブラジル協会が主催

 水野龍顕彰団体「佐川町水野ブラジル協会」(田村裕子会長)が3月29、30の両日、高知県同町の旧青山文庫(佐川文庫庫舎)で企画展示『カフェー・パウリスタ―最初のブラジルコーヒー店と水野龍』を開催した。1号店とされる「カフェー・パウリスタ大阪箕面店」の模型や関連書籍、資料を展示した同企画は、プロ野球・四国独立リーグの高知ファイティングドッグス(高知FD)に入団した水野龍の孫、ジョナタン正一投手(17、三世)の支援が目的。寄付されたコーヒーや特製布バッグ販売の収益が彼の生活費にあてられた。

展示会の様子

展示会の様子

 手提げバッグは布製で縦横約35センチ。1915年当時のカフェー・パウリスタ雑誌広告があしらわれ、茶、緑、青、ピンクなど6色が千円で販売された。ポ語の文言には「ブラジル日本移民の祖」「カフェー・パウリスタの創業者」といった龍の紹介文や、「移民開始から100年以上の歳月を経て、プロ野球選手を目指す孫が佐川町に」などと記されている。
 大阪のコーヒー業者や、連邦下議の西森ルイス氏個人から寄付された合計20キロのコーヒー豆も販売した。協力者で移民研究者の中村茂生さんは、「西森さんから急遽、10キロ分を提供して頂き感謝。パッケージがポ語とあってか完売。その後も問合せが来るほど」と協力を喜んだ。
 約300人が集まった今企画では展示以外にも、吹田市立博物館館長の中牧弘充(ひろちか)氏を招いた講演「水野龍からはじまるふたつの物語」や、同氏と佐川町の堀見和道町長、ジョナタンさんの三者を交えた対談が行われた。会場が満員となる50人が集まり、町民らへの理解、協力を深めた。
 本登録選手ではなくテスト生契約のため、無給で野球に取り組んでいるジョナタンさんに対し、今企画の収益金約15万円は、4月以降の生活費にあてられる。田村会長は、「プロ野球選手になるという彼の夢はとてつもなく困難なものだが、たとえ実現できなかったとしても、佐川町での経験が彼の生涯にとって代えがたいものになって欲しい」と願った。
 今後に向け「当面は、さかわ観光協会と共同で制作したバッグ販売に力を入れたい。移民開始は100年以上昔の出来事だが、こうして現在にまでつながっていることを不思議に感じる。日本のこの小さな町で、私たちがいま引き継いだものを可能な限り実りのあるものにしたい」と抱負を述べた。
 ジョナタンさんは本紙に対し、「多くの人に支援され、日本でプレーする夢が叶った。だからこそ、最大限の努力をしなければ。故郷でお世話になった人のおかげで、日本でも全力でプレーできている。プロ野球選手を目指すべく、やる気にあふれている」と語った。
 展示会終了後も引き続き、同町の旧酒蔵商家「浜口邸」などでバッグの販売が行われている。