サンパウロ市内などでは4年位前から手作りのケーキの店がブームとなっている。設備も込み入っていないため少ない元手で開業出来、生産も容易、あらゆる社会階層が顧客となってくれるといった特徴があるのが手作りケーキの店だ。
手作りケーキブームの火付け役となった店のひとつ、ボロ・ア・トア(Bolo a Toa)は2011年の創業だ。現在はピニェイロスとイタインの2店舗で月1万2千個を売り捌いており、今年中にはサンパウロ市内と州内陸部に直営店を各1店舗開業する予定だ。
2010年にリベイロン・プレット市で創業したカーザ・デ・ボロは、ラモス家の子供達が母親が余暇を過ごすために設けた店が好評で、一族の中からも開業者が現れたため、フランチャイズ方式で広がった。現在の店舗は直営店8店舗を含む102に増え、月に35万個のケーキを販売している。エドゥアルド・ラモス氏は、成功の秘訣は高品質を保つ事という。
クリスチナ・ダ・シウヴァ・サントスさんとマルコス・アントニオ・ドス・サントスさん夫妻が2013年4月に創業したカーザ・ド・ボロ・カゼイロは、固定した店を持たず、注文に応じてアルファヴィレやカラピクイバ、タンボレー、バルエリーの各市の会社や家庭に品物を届ける方式で業績を伸ばしている。現在の売上げは月600個だが、約半数はアルファヴィレ近辺の商店などに販売しているなど、既に固定客を得ている。
マット・グロッソ州クイアバのメウ・ボロ・カゼイロは、登録した客から電話かサイトで注文を受けて配達する方式を採用。注文は月2個で32レアルというパッケージから始まり、3カ月で40件の顧客を獲得。3万レアルを投資して始めた商売は現在、週200個のケーキを売り上げ、月2万レアルの収益を得るまでになった。共同経営者のラウラ・ブテットさんは、「顧客の中にはお店を構えたらと言ってくれる人もいるけど、きっと今のやり方より客足の伸びが遅くなると思うわ」と語っている。
サンパウロ州サウト在住のクレウザ・マリアさんは、上司から頼まれてケーキを焼いてあげたのがきっかけでケーキ作りにのめり込み、昼食の時間帯に家に戻って台を焼き、仕事から帰ったらデコレーションをし、出勤前に届けるというやり方で副収入を得る内に小さな店を開ける事を決意。
ケーキを作っている傍らで子供達がテーブルに突っ伏して寝てしまう事もしばしばだったというクレウザさんは高等教育も受けておらず、小売りの経験もなかった。このため、初めて開けた20平米の店に評判を聞いてサンパウロ市から来たという客から、フランチャイズの店を開けないかと言ってきた時は何の話をしているのかさえ分らなかったという。クレウザさんのソディエ・ドッセスは成長の一途で、現在は全国に160店舗を持つに至っている。「冷凍した材料は使わず、常に新鮮な品を」をモットーとする同社は、店舗同士の競争を避ける事で広く顧客の満足を得る事を心がけているともいう。(25日付エスタード紙より)