サンパウロ市で2日、同市南部グラジャウー地区ジャルジン・ダ・ウニオンの土地の不法占拠者達が、3日までにとされた退去命令を不服とし、約800家族のための解決策をと訴えてパウリスタ大通りのアウグスタ通り付近を封鎖したと同日付G1サイトが報じた。
サンパウロ市では、5月27日もセー広場とボア・ヴィスタ通りの間でセー広場脇の建物を占拠した人達による抗議行動が発生。付近を通る13路線のバスが回り道をし、建物からの退去期日が8日までに延長された。
5月28日にはホームレス労働者運動(MTST)が市議会前で3500人規模の抗議行動を行い、「大衆のW杯(コッパ・ド・ポーヴォ)」で占拠したアレーナ・コリンチャンス(通称イタケロン)に程近い土地15万平米を大衆住宅建設用地とする事と、それを盛り込んだ総合開発計画の審議を6月第1週に行う事などを要求した。
また、5月29日は南部ジャルジン・サンルイスの私有地に住み着いたホームレス約1200人が、強制退去に赴いた軍警に抵抗して抗議行動を起こし、1日にはホームレス約200人が、レンガで入り口を封鎖されていた市役所のそばの元ホテルを不法占拠するという事件も起きている。
サンパウロ市を含む大都市での住宅不足は深刻だ。5月7日付エスタード紙によると、1月1日~4月24日にサンパウロ市で起きた185件の抗議行動中43件は賃上げなどの労使問題がテーマで、それ以外は住居問題23件、治安20件、インフラ整備14件、公共交通13件、W杯反対9件、教育問題7件、文化や政治的な問題各6件、人種差別問題4件、保健衛生3件、表現の自由3件で、不明も18件、その他は15件となっている。
ハダジ市長は連邦政府とも話し合い、「大衆のW杯」で占拠された土地を接収する方向で市議会に総合開発計画の修正案を提出しているが、MSTSは、住宅建設を自分達で管理し、工事参加率の高い人を優先的に入居させるという案を認めるようにも要請している。