5月30日、14年第1四半期の国内総生産(PIB)が発表され、13年第4四半期(前期)比で0・2%という低調な伸びに終わっていたことがわかった。工業部門と投資部門でマイナス成長を記録したことが響いた。5月31日付、2日付伯字紙が報じている。
14年第1四半期のブラジルの生産部門は、農業部門が前期比3・6%、サービス部門も同0・4%の伸びを示したが、工業部門は0・8%の減少を記録した。
また需要に関しては、政府支出は前期比で0・7%増えたものの、一般家庭消費は0・1%減、投資は前期比2・1%と大きく減退した。
ブラジルのGDPの伸びは、既に第1四半期の成長率を発表済みの世界29カ国の中でも21位と低迷した。最高は日本の1・5%で中国が1・4%、フィリピン、インドネシア、韓国、マレーシアのアジア勢ものきなみ1%前後の成長を示しており、0・8%を記録したイギリスやドイツなどと比べても低い数字となった。米国は前期比0・2%のマイナス成長だが、昨年同期比は2・3%増で、1・9%増のブラジルを上回っている。
ギド・マンテガ財務相は、第1四半期のGDPが伸び悩んだ理由として、インフレ率と金利の高さが家庭消費を冷え込ませたのが響いたと語った。昨年4月までは7・25%だった経済基本金利は、現在11・0%にまで上がっている。
同財相は、米国の中銀にあたる連邦準備制度理事会(FRB)が昨年末に量的緩和策を縮小させたことが、欧米諸国がのきなみ伸びなかったことの原因と語っている。
ただ、工業部門の減退は心配な要素だ。この部門は13年第3四半期の0・1%、同第4四半期の0・2%に続く3四半期連続での減少を記録しており、今回の下げ幅は最も大きい。
第1四半期の電気、水道、ガスの生産と配給は前期比1・4%、鉱業も同0・5%の成長を示したが、同部門で最も大きな比重を占める製造業が前期比0・8%の減少を記録した。減産が目立ったのは機械、電気機器、自動車、製鉄などで、建築部門も前期比2・3%の減少を記録した。
工業部門では、生産の減少傾向はW杯の期間中も続くと見ている。その理由は、同大会期間中には休日が多くなることと、そして、一般家庭の消費が工業製品以外のものに充てられることになるためだという。
また、第2四半期の見通しも低いものとなりそうだ。ジェツリオ・ヴァルガス財団(FGV)によると、経済の60%を占める商工業と建築、サービス部門の企業家の信頼感指数は5月にマイナス5・6%と大きく落ち込んだ。信頼感指数の動向はGDPの動向と連動する傾向にある。今回の数字は世界的な経済危機の起こった2008年第4四半期に記録したマイナス19・2%に次ぐ低い数字だ。このときはGDPも4・2%のマイナス成長となっており、第2か第3四半期がマイナス成長となる可能性も指摘されている。
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