安倍晋三首相が7月下旬からブラジル、メキシコなどの中南米諸国訪問を始める方針を固めたと日本各紙が報じている。中南米地域へは、昨年9月に2020年夏季五輪の開催地を決める国際オリンピック委員会(IOC)総会に出席するため、アルゼンチンを電撃訪問したのみ。日本各紙によれば、成長著しい中南米地域への進出を強める中国をにらみ、日系社会がある同地域との関係強化を図ること、資源の調達先の多様化などの狙いがあるようだ。実現すれば、04年9月の小泉首相以来、10年ぶりの訪問となる。
大統領府に5月30日に尋ねたところ、安倍首相の訪問については「何も聞いていない」と回答。在ブラジル日本国大使館は「日本からの正式な通達はない」としながらも、「希望は常々持っていて調整はしている。なるべく早く決まればと思っている」と調整段階にあることを強調した。
日本各紙が報じている訪問目的については「訪問自体が決まっていないので…」との返事で、訪問時期に関しても明言は避けたが、関係者の情報によれば、7月下旬に日本を出発し、来伯は8月初旬になるようだ。
安倍首相は「地球儀を俯瞰する外交」を掲げて毎月のように海外に出かけており、7月予定のオセアニア3カ国出張も実現すれば、第2次内閣発足後、5大陸すべてを訪れることになる。その他、チリやコロンビアも訪問国の候補に挙がっている。
外務省のサイトによれば、昨年9月、G20サミット出席のため訪問したロシアで行った首脳会談で、安倍首相は「日本とブラジルは基本的価値を共有するパートナーであり、歴史と伝統に培われた特別な信頼関係を今後も大切にしたい」と関係構築への積極的な姿勢を見せた。ジウマ大統領も日本企業の対ブラジル投資への高い評価と一層の期待を示している。
日本各紙によれば安倍首相の狙いは中南米諸国との関係強化、資源の調達先の多様化や、日本からの投資やインフラ輸出の拡大など。日本が立候補を表明している2015年の国連安全保障理事会の非常任理事国選挙での支持を求める目的もあるようだ。
首相の祖父・岸信介が1959年7月に日本の首相として初めて中南米を訪問し、友好関係を築いた経緯があり、毎日新聞によれば「首相の思い入れは強い」という。
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