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販売不振続く自動車業界=3カ月連続で売り上げ減「景気と構造的な問題」=来年上半期まで同傾向か

 割引に無利息ローン、従業員価格での販売や燃料チケットサービス――。自動車メーカー各社は、ここ最近の販売不振対策として、手を変え品を変えた販売戦略を打ち立てているが、どの方法も消費者の新車購買意欲をかきたてるには至っていないようだ。3日の全国自動車販売業者連盟(Fenabrave)の発表によれば、5月の販売台数は前年同月比7・2%減で、営業日が1日少なかった4月の29万3200台とほぼ同水準の29万3400台だった。3日付エスタード紙、G1サイトなどが報じた。

 「国内総生産の伸び悩みや所得低下、クレジットの利子上昇に伴い、市場は縮小を余儀なくされる」と話すConsultoria GO Associadosのファビオ・シルヴェイラ氏は、今年は自動車製造各社にとって調整の年になるとみている。
 同氏によれば、現時点ではしばらく巻き返しの機会はなく、「2015年上半期までは今の傾向が続く。必要なのは金利と税金を下げ、投資とより安い運転資金投入の余地を作ること」と分析する。他の専門家も、W杯や選挙、消費者の収入減などに伴って国内販売が落ちる傾向は、今後も数カ月続くとみている。
 トラック、バスを含めた5月の販売実績は29万3400台で、昨年5月の31万6200台より7・2%減った。1月から4月までの販売台数は前年同期比5%減だったが、1月から5月までの累積は1399万台で前年同期比5・5%減と更に縮小している。
 前年同月と比較した販売台数の減少は3カ月連続で続いており、同連盟は今年1年の販売台数は前年比で3・24%減少するとみている。
 乗用車と商用軽量車だけで見ると前年同月比7・5%減、前月比では0・6%減の27万8400台にとどまった。1日の平均販売台数は前月比5・3%減で、前年同月比は7・5%減となった。同2種の1月から5月までの販売台数は1334万台で、前年同期比5・1%減だった。
 販売台数の減少傾向が続いていることを受け、大規模工場の多くは集団休暇やレイオフ(一時解雇)、早期の自主退職制度(PDV)の導入などを実施または検討中だが、LCA Consultoresのロドリゴ・ニシダ氏は、この低調の原因を「時期的な要因と構造的な問題」と分析する。
 時期的な要因は、工業製品税(IPI)の引き上げ(減税措置の段階的解除)などで各メーカーが販売価格の引き上げを余儀なくされていることや、経済基本金利(Selic)の引き上げでクレジットを利用しにくくなったことなどを指す。
 一方、構造的な問題は、自動車販売がここ数年急速に伸び、普及率も高くなったため、新車の需要が低迷し始めたことを指す。2012年から13年に掛けて採られた景気刺激のための減免税措置で、新車購入が前倒しされたことも影響している。
 5月に最も売り上げが多かった車はGolの1万5187台で、以下、Palioの1万4910台、Onix Hatchの1万1696台と続いた。