日韓、ドイツ、南アフリカ、そして今回。ブラジルで4回目のW杯を迎えるコラム子だが、あまりサッカー自体には関心がない。ただ、開幕が近づくにつれ、市民が浮き足立つことで生まれる独特の高揚感は大好きだ。カーニバルが近づくにつれて変わってゆく雰囲気とはまた違う、国威発揚的なイメージも加わる▼今回はそういう空気がほぼなく、本当にこの国で開催されるのだろうかーと不思議になるほどだった。しかし、3月25日通りでは直前になり活況を催していたようだ。訪問客は、通常の3倍にまでなったという。バスや地下鉄のストの影響との分析もあるようだが、気兼ね(?)していた気持ちが抑えきれずといったところか、と勝手に解釈し微笑ましくなった▼街の雰囲気も当日正午を回ったころから、変わってきた。3万5千人が集まったというアニャンガバウー広場での「ファンフェスト」に行った編集部スタッフによれば、3時前にはほぼ入れない状態で、それまでの状況を知らない日本から来た家族は「さすがブラジル!」と感慨しきりの様子だったとか▼メディア関係者が負傷したり、リオやサンパウロの競技場近くでのデモの映像が映し出されるテレビを切り、通りに出るとブラジルカラーを着た市民で一杯。対極すぎて不思議な気分に陥った。ショッペリアででもーとパウリスタ大通りに行くと、いくつかの店はカーテンで店を覆っている。便乗値上げかサービスか、飲み食べ放題の安くはない一定価格のご提供。試合終了後、早くも街の興奮が冷めたような気がしたのはコラム子だけか。これから一カ月、しっかり空気を楽しみたい。(剛)