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W杯開幕戦でジウマに野次=式でのスピーチ避けるも=国民からの不信感ぬぐえず=抗議活動も依然収まらず

 12日にサンパウロ市イタケロン・スタジアムでのW杯開幕試合を観客席から見守ったジウマ大統領が客席から強い野次を受け、国民の現政権に対しての反発の強さをうかがわせた。13日付伯字紙が報じている。

 ジウマ大統領は同日午前、チリのミチェル・バチェレ大統領と大統領官邸で会談を行なった後、サンパウロ市に向かい、正午にはサンパウロ市市内のホテルで、W杯を見に訪れた各国首脳と昼食会を行なった。
 大統領は午後2時45分にイタケロン・スタジアムのVIP席についた。大統領の両隣は娘のパウラさんとジョセフ・ブラッターFIFA会長で、ミシェル・テメル副大統領、レナン・カリェイロス上院議長、ジェラウド・アウキミンサンパウロ州知事、ジョアキン・バルボーザ最高裁長官が座った。
 ジウマ大統領はかねてから開幕セレモニーではスピーチを行なわないと明言していた。それは昨年のコンフェデ杯で演説した際に観客から罵声を浴びせられたからだ。そのため、今回のW杯ではFIFAのブラッター会長も含め、スピーチは一切行なわれなかった。
 だが、スピーチはなくとも、大統領は計5度にわたる野次を観客から浴びた。最初は会場に着いたときで、その次は、セレモニー直後に司会者が試合会場となる12のスタジアムの建設に携わった人たちへの拍手を求めた際、拍手が鳴り終わったのを待つように起こった。その野次はVIP席からはじまり、他の客席にもこだましていった。
 また、開幕戦でもブラジル国歌斉唱後に野次が起こり、ネイマールが逆転のゴールを決めた後半30分にも、大型スクリーンに立ち上がって大喜びする大統領の姿が映し出された際に野次が飛んだ。最後の野次は、試合終了間際に起こった。
 今回のジウマ大統領に対する罵声は、昨年6月のコンフェデ杯前のマニフェスタソン以来続く現政権に対する不満が浮き彫りになったものだ。大統領に対する不満の一つには「経済の低成長」があげられ、特に高所得者層からの反発が強い。開幕戦チケットは160~990レアルで、ある程度の経済力のある人が多かったと見られる。
 また、W杯に向けたスタジアムやインフラの整備の遅れ、公的資金は使わないとの約束にもかかわらず、税の優遇や公的資金の投入を行なったことでも批判があったが、スタジアムの建設担当者たちへの拍手が求められた際に野次が飛んだのも象徴的だった。
 一方、W杯に対するマニフェスタソンは開幕当日も止まらず、開催地では、サンパウロ市、リオ、ブラジリア、ベロ・オリゾンテ、ポルト・アレグレの5カ所で目立ったものが起きた。サンパウロ市では早朝に市議会に火炎瓶が投げ込まれた他、地下鉄カロン駅前に集まったカンピーナス総合大学学生たちにガス弾が投げられたのをはじめ、ラジアル・レステを封鎖しようとしたブラック・ブロックなどと軍警が衝突し、逮捕者31人、けが人15人が出た。リオでも約1千人のデモが起き、7人(11人との報道もある)が逮捕、ベロ・オリゾンテでも12人が逮捕され、2人がけがをした。