リオのマラカナン・スタジアムで18日、W杯のスペイン対チリ戦の前に入場券を持たないチリ人サポーター少なくとも200人(エ紙報道、フォーリャ紙では150人)が侵入を試み、85人(19日付G1サイトでは88人)が身柄を拘束された。19、20日付各紙が報じた。
チリ人らは金属製の柵やガラスのドアを破って侵入し、国際サッカー連盟(FIFA)のメディアセンターの壁を壊してテーブルやコンピューターの間を素早く走り抜けるなどして、少なくとも80人が観客席に入り込んだ。
集団はドア付近に3時間ほど屯し、「チリ人を入れろ」などと叫んでいたが、そのうちの一人が病気のふりをして警備員に助けを求めている間に隙を付いて侵入し始めた。85人は72時間以内に国を出るよう命じられ、さもなければ強制送還との通達を受けた。
現場に居合わせた警備員は本来なら20人がかりで取り押さえる必要があったのに「自分ひとりが残された」と話しており、ある政府関係者はエスタード紙に対して治安管理が疎かになっていることを認めた。FIFAはこの件を受けて対策を発表するとしたが、安全対策の欠如は連邦政府の責任だとしている。
連邦政府側はFIFAが管理するエリアへの介入も辞さない考えで、現在は15万人の警察官らの増員を検討している。
拘束されたチリ人男性(34)の一人は、侵入はチケットを持っていない集団が計画したもので「皆入場券を買う金は持っていた。1千レアル払っても良かったが、誰も券を売ってくれなかったから侵入することにした」と話している。
安全対策の不足は開幕1週目から複数の会場で指摘されており、FIFAは、必要な数の警備員の7割以下しか配備されていないと認めた。
21日でW杯は開幕10日目となるが、改善すべき問題はこれ以外にもある。その一つがスタジアム内での飲食で、どの会場でも、食べ物などの不足やボランティアが食事を取って気分を悪くするなどの問題が起きている。フォルタレーザでは後半戦開始前に飲み物が売り切れ、サルバドールでは店の従業員が不足していたために商品の強奪も起きた。従業員の遅刻や研修を受けていない場合も少なくなく、入場時の持ち物チェックに時間がかかり、全会場で長蛇の列ができている。
チケットは全て売り切れたと公表されているが、少なくともこれまでの5試合で一区画や一列が埋まっていないことが確認された。FIFA側はチケット購入者が会場に現れなかっただけで、全席の97%は埋まっている状態だとしている。