ジルベルト・カルバーリョ大統領府総務長官は18日、サッカーW杯の開幕日の12日、「ブラジル対クロアチア戦」に際してジウマ大統領に罵声を浴びせたのは「白人の富裕層だけではない」と語り、同大統領やルーラ元大統領の楽観的な見解と違う見方をしていることと、再選に向けて注意が必要なことをうかがわせた。19日付伯字紙が報じている。
カルヴァーリョ氏の発言は、18日に大統領府で政治ジャーナリストや青年政治活動家らと行なった討論の席で出たものだ。会合そのものはマスコミには非公開だったが、内容はインターネット上で公開されていた。
その発言でカルヴァーリョ氏は、「常日頃から受けている批判が、(W杯開幕戦の試合会場になった)イタケロン・スタジアムでのあの罵声につながった」と、W杯開幕戦でジウマ大統領に飛んだ5度にわたる罵声の理由の自身の解釈を行なった。
カルヴァーリョ氏は開幕試合を見に行ってはいなかったが、出張でイタケロン近くの学校に出向いており、その往復に地下鉄を利用したという。「地下鉄の中には罵声を上げている黒人系の青少年が大勢いたが、彼らは裕福な白人とは何のつながりもない層の人たちだった」と発言した。
このカルヴァーリョ氏の発言は、ジウマ大統領やルーラ元大統領の発言とは全く異なるものだった。ジウマ大統領は開幕戦翌日の13日、「(スタジアムで浴びた)罵声は一部の人が飛ばしたものであり、ブラジル民は総じてあのように振舞ったり考えたりはしないものだ」と発言し、意に介しないことを強調した。
またルーラ氏も、「罵声を浴びせている若造を何人か見かけたが、彼らは富裕層で、飢えに苦しんだり、学校にも行けないような貧しい人たちではない」と語っていた。
カルヴァーリョ氏は「我々の対策が不十分なため、報道機関が流すジウマ大統領や労働者党への批判に満ちた情報の影響が、富裕層から中流階級、貧困層へと広がっている。こうやって蓄積してきた影響が罵声となって表れてきたのなら、今回の選挙はこれまででもっとも難しいものになるだろう」と語った。同氏の発言は、ジウマ大統領の再選に向けての富裕層への対策の甘さや、中流以下の層に対する過信を引き締めるような印象さえ感じさせるものとなっている。
一方、ジウマ大統領は18日、マンテガ財相が16日に発表した中小企業の株式市場参入促進対策に加え、製造業者への融資の返済金利軽減などの企業家救済策を発表。技術教育と雇用促進への国家計画のPRONATECを通し4年で1万2千件の雇用を創出することや、モトボーイの保険料の30%増額など、企業家や労働者双方に対応した対策を発表した。
19日に発表された全国工業連盟とイボッピによる大統領選アンケートでのジウマ氏の支持率は39%で前回とほぼ同じだったが、国民の7割がインフレ対策に不満を持っていることなども判明した。