労働者党(PT)は21日、ブラジリアでの党大会で、再選を目指すジウマ大統領を10月の大統領選挙の正式な候補として公認した。今年の選挙のスローガンは「マイス・ムダンサ、マイス・フトゥーロ(さらなる変革、さらなる未来)」で、大統領自身が都市化と公共サービスの充実を約束した。21日付伯字紙が報じている。
ジウマ氏再選を公認する党大会は、華やかな照明の演出と共に盛大に行なわれた。ジウマ氏は、PTカラーの赤地に自身の名を白抜きした大型スクリーンを背後にして壇上に立った。
このところ世論調査の支持率が下がり、ワールドカップの開会式では罵声まで浴びせられたジウマ氏だが、「私は憎しみを持って政治はしない。私には治めるべき国があり、その人たちの見本とならなければならないので、人を憎んでいる時間はない」と語った。
野党候補が次々とジウマ批判を展開している中だが、先日もルーラ前大統領が「希望が嫌悪に勝つ」と語ったように、ジウマ陣営はあえて他候補を批判しない方針のようだ。党大会でのジウマ氏は他候補からの批判に関し、「批判として投げ込まれるものは受けてたちましょう。それをレンガに、ミーニャ・カーザ、ミーニャ・ヴィーダの家を建てましょう」と語っている。
一方、この日の応援演説に立ったルーラ氏は、アエシオ・ネーヴェス氏を候補に立てた民主社会党(PSDB)に向けた批判を行なった。ルーラ氏は名前こそあげなかったが、アエシオ氏を推したカルドーゾ氏の政権では「どうしてブラジルの教育問題を解決しなかったのか」と批判した。
また、ジウマ氏は「全国改造計画」の実施も発表した。計画のモットーは「もっと機会のある国に」で、経済の安定と社会政策拡大を目指すことでブラジルは新しい発展サイクルに入ると謳う。ジウマ氏は、昨年のマニフェスタソンの際に約束した政治改革や交通やインフラなどの都市化計画、教育や医療などの充実などの実現を図る意向だ。
ジウマ氏が現副大統領のミシェル・テメル氏(民主運動党・PMDB)を副候補として出馬することは、全会一致で承認された。ジウマ氏はテメル氏は「苦しいときも常に私を支えてくれたパートナー」で、PMDB内でPT支持に関する内紛が生じたときも、「ルーラやジウマが貧しい人たちのための大統領だというバカな考え方をやめよう」と語って事態を収拾したと讃えた。
今回のジウマ氏の出馬公認で、現政権での経済の低成長やインフレ対策の甘さなどに不満を抱く企業家たちが望んでいた今回の大統領選へのルーラ氏の再出馬は正式になくなった。ルーラ氏は今党大会で改めて、ジウマ氏とのあいだで意見の食い違いはないと強調し、企業家たちに連邦政府ともっと密になるよう求めた。ただ「2018年になれば人々はもう4年、PT政権を求めることになる」と語り、18年大統領選での自身の再出馬の可能性をにおわせた。
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