ホーム | ブラジル国内ニュース(アーカイブ) | 5月の雇用創出6万件切る=同月では22年ぶりの低さ=工業では2万8千件減少=W杯直前の恩恵生かせず

5月の雇用創出6万件切る=同月では22年ぶりの低さ=工業では2万8千件減少=W杯直前の恩恵生かせず

 サッカーのワールドカップの開催直前の時期だったにもかかわらず、5月の雇用創出は全国で6万人を切る低調な数字に終わった。これは5月の雇用創出としては1992年以来22年ぶりの低水準に終わった。25日付伯字紙が報じている。

 ワールドカップ開催の直前ということもあり、連邦政府側は昨年5月に記録した7万2千人の雇用増は楽に超えるだろうと考えていた。だが、実際には今年5月の正規雇用の増加は5万8836人で、予想を大きく下回るものとなった。
 この数字は、5月に関して言うと、1000%台のハイパー・インフレを記録したことで知られるフェルナンド・コーロル大統領時代の1992年以来の、22年ぶりに低いものとなった。
 この結果に対し、マノエル・ディアズ労働相は「5月の工業の不調がそのまま形として現れたものとなった」と語った。
 5月の雇用の内訳を見ると、宿泊や飲食業などのサービス部門ワールドカップの影響で、昨年同月の約2万1千人を大きく上回る3万8千人の雇用創出を記録。農業部門も、ミナス・ジェライス州とサンパウロ州のカフェ栽培で2万7600人の新規雇用があったことなどで、昨年同月の3万3800人から4万4100人に伸びていた。
 だが、工業部門は、化学工業で3100人の雇用増となったものの、金属や機械など残り11部門は解雇が雇用を上回った。具体的には自動車産業で6664人、輸送材料も5330人の雇用減などが報告されており、最終的に、昨年は1万5800人の雇用増だったのに対し、今年は2万8500人の雇用減となった。工業部門で5月に雇用減となったのは過去22年間で初めてだ。
 工業界の雇用減少は、インフレ抑制のための経済基本金利(Selic)の引き上げなどで投資が縮小し、消費が落ち込んだことなどが原因だ。工業界は生産性低下や在庫拡大に悩んでおり、自主退職や集団休暇などが適用されている。
 またディアズ労働相は、ワールドカップ開催直前の雇用の伸び悩みは「W杯に関する雇用契約が2月に前倒しされていた可能性がある」と分析した。1~5月の雇用創出は54万3200人となった。ディアズ労働相は1カ月の内に今年の雇用創出の目標見直しを行う予定で、現行の150万人という目標は下方修正される見込みだ。
 一方、ディアズ労働相は「ジウマ大統領が先週発表した単一労働システム(SUT)が功を奏すはずだ」とし、今後の雇用創出に楽観的な見方を示した。それは、労働者支援基金(FAT)のシステムを変えて、投資を呼び、工業を促進するためのもので、「労働者と企業家と国が一体となった対策」と評価している。
 民主社会党(PSDB)大統領候補のアエシオ・ネーヴェス氏はこの対策を「88年の憲法制定で労働者が勝ち取った最大の権利の一つであるFATを変えるのは大問題だ」と批判している。