6歳のララちゃんが学校に行くには、ノートと鉛筆を持って廊下を横切るだけ。時にはそれさえ不要で、先生が部屋まで来てくれる―。
22日付フォーリャ紙によると、白血病で闘病中のララちゃんはサンパウロ州に約500人いる院内学校の生徒の一人だ。院内学校の対象は医師の許可を受けた子供達で、院内にある教室か子供のいる病室で授業を行う。新しい患者が入院してくると、教師達は患者の在籍校と連絡をとり、各人にあった内容の授業を行う。
院内学校は現在、全国146の病院で導入されている。10年前は80の病院だけだった事を考えると進歩したが、教師不足などで導入できない病院も多い。院内学校が最も多いのはサンパウロ州で、この2年間で48校が60校に増えた。2位はリオ州、3位はパラナ州だ。
院内学校の教師養成校の中には、教育学より子供の病気の事を教えたがるといった問題もありうる。また、病院内での授業の内容を在籍校が認可するかといった問題や、在籍校からの情報が不十分で生徒のレベルが判らず、授業の内容を決めるための試験が必要となる場合もある。院内学校は生徒の習熟度を試すための試験も行い、在籍校に報告。在籍校が送ってきた試験を受けさせ、点数を報告したりもする。
3年生の時に癌を発病してサンパウロ市ダルシー・ヴァルガス病院に入院し、院内学校で1年半学んでから在籍校に戻ったベアトリスさん(10)は、退院後も診察を受けに来る度に院内学校の先生達に会いに来るという。
サンパウロ市の心臓病院にいるイザベラちゃん(7)は集中治療室で授業を受けていたが、手術後は院内の教室で授業を受け始めた。母親が「何も食べたがらず泣いてばかりいたのに、先生の顔を見ると嬉しそうな顔になる」というように、教師達は生徒と外界を繋ぐパイプの役も果たす。
同病院で2週間前に移植手術を受けたカミーレさん(11)は集中治療室で授業を受けている。リオ州から来たジウリアちゃん(7)は脳血管障害まで起こしたが、手術までは人工心臓を使って病魔と闘っている。ジウリアちゃんは手足の動きを取り戻しているところで、病室のベッドの上に特別仕様の机を置き、院内学校の先生と共に読み書きの練習を始めた。母親は、「授業を受ける事であの子自身の活動が始まった」と喜んでいる。
院内学校の授業は患者の状況が許す範囲で行われ、医師の許可と心理学者の同伴が前提だ。同校の教師は退院後に在籍校に戻るための橋渡し役となる一方、患者の死と直面するなどの困難にも直面。それでも、闘病中の子供達が授業を通して生気を取り戻し、勉学の喜びを味わってくれれば、それらに勝る喜びを味わうのが教師達だ。
タグ:ヴァルガス