日本のシンボル、富士山の雄姿をサンパウロで―。ニッケイ新聞は提携紙の静岡新聞(本社・静岡市)と共催で、来月4~6日に開催される県連・日本祭りのパビリオン会場で『富士山写真展~世界文化遺産になった日本人の魂と文化~』を開く(E-08、出口近く)。日本国民の悲願として富士山がUNESCO世界文化遺産認定されてから、はや1周年。それを記念し、静岡新聞が提供する四季折々の富士山の表情を伝える写真40枚を通じて、〃日本の心〃をブラジル社会に伝える企画だ。
雲海から顔を覗かせる神々しい姿、真っ白な深雪に覆われた寒々とした姿、またあるときは色とりどりの花畑の向こうに聳える心温まる姿など、地元紙・静岡新聞だからこそ切り取れた千変万化する霊峰の表情が一堂に会する。
同社ヘリコプター「ジェリコ1号」が空撮した上からの富士は、三保の松原から仰ぎ見る様子とはまったく別の表情を見せる。
入り組んだ入り江を持つ伊豆半島側から覗き見る姿、はたまた日本一のパワースポット(元気が出る場所)といわれる山頂の御来光の瞬間、山頂部と太陽が重なる特殊な大気光学「ダイヤモンド富士」が出現する直前に上空に鬼のような影が現れた瞬間を写したものなど、ここでしか観られない世界文化遺産にふさわしい美景が山盛りだ。
日本人にとって古くから山岳信仰の代表であり、山頂の浅間大社の鳥居の勇姿も写真展にはある。日本中に350もの「富士」の名を冠する山がある。移民が祖国を恋しく思う時、まず夢に見、心に思い浮かべたのは富士の美しい姿ではないか。北米には「タコマ富士」、サンパウロ州にも「レジストロ富士」などその名を冠した山が23カ国・地域に50以上もあるのがその証左だ。
古来、日本人は俳句や浮世絵に写し取り、文化的意味を持たせ、自然への敬意、畏怖を維持してきた。昨年、富士山がUNESCOの世界文化遺産に登録されたのは、まさに高くて美しい山というだけでなく、自然と共生してきた日本人の精神性を幅広く知ってもらおうという働きかけの成果でもある。
そんな背景も含めた霊峰の姿を子や孫に見てもらうだけでなく、幅広くブラジル社会に知ってもらうために企画された。 後援は在サンパウロ日本国総領事館、国際交流基金サンパウロセンター、富士山を世界遺産にする国民会議の後援。協賛はイカイ(静岡県沼津市)。