第106回目の「日本移民の日」を迎えるにあたり、心よりお慶び申し上げます。
駐ブラジル日本大使としてこの地に着任して4カ月が経ちます。この間、強く感じることは、ブラジルは世界有数の親日国であり、しかも日本や日本人に対する厚い信頼が存在していることです。
このような強い親日感情の背景には、笠戸丸がサントス港に到着した106年前から今日に至るまで、移住者及びその子孫の方々が努力を重ねられ、ブラジル社会で築き上げてこられた信頼と、様々な分野において活躍されていることが基盤にあると確信しております。
また、日系人の皆様がブラジル国内各地で実施されている日本文化や日本語普及活動は、ブラジルはもとより、世界における日本文化の伝播の観点でも多大な貢献をされています。
皆様のご尽力によって得られた日本に対する評価と信頼は、日本全体にとって大きな宝であり財産であります。これまでの日本人移住者の皆様とその子孫の日系人の皆様のご尽力に心より感謝申し上げます。
日伯関係は、21世紀に入り、ブラジルの政治的・経済的躍進に伴って、更なる進化の段階を迎えています。ブラジル社会における日系社会についても、時代の流れとともに変容が見られます。多民族国家で多民族が共生するブラジルにおいて、若い世代の日系人としてのアイデンティティが時代とともに少しずつ薄れていくことは自然なことかもしれません。
しかしながら、若い日系人の皆様が日系人としての誇りをもち、日本のよき理解者として両国関係の進展に活躍されることは、日伯両国にとって極めて大切なことと考えます。このためには、できるだけ多くの若い日系人の方に日本を訪れる機会をもってもらうことが重要と考えます。
先日、待望のFIFAワールドカップブラジル大会が開幕し、ブラジルは世界から大きな注目を集めています。日本では、代表チームの動向に加え、ブラジルの各地の日系社会が代表チームの応援や日本人サポーターの受入れに多大な貢献をして頂いていることもメディア各社で報道されており、多くの日本人はブラジルの日系社会の温かい支援に感銘を受けています。この場をお借りして、皆様のご配慮に心から感謝申し上げます。
ワールドカップに引き続き、来年には日伯外交関係樹立120周年、そして再来年にはリオ・オリンピックが開催され、ブラジルに対する日本の関心は間違いなく大きくなります。私としましては、日系社会によって育まれた日伯両国のパートナーシップが更に向上するよう全力をあげて取り組む所存です。皆様の御協力と御支援を宜しくお願い致します。
皆様の益々の御活躍と御健勝を祈念して私よりの祝辞とさせていただきます。