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コッパ微塵のレストラン

 「お客さんが押しかけるかと期待したのに、すっかり騙された。コッパ(カップのポルトガル語=W杯)だけにコッパ微塵ですよ…」。サンパウロ市内のさる日系レストランに顔を出すと、旧知のクソ真面目な店主はのっけからそう嘆いた。
 「笑点なら『座布団一枚!』だ」と内心は大笑い。でも相手が真顔なだけにグッとこらえ、同情したフリをして、なんとかその場をしのいだ。
 特に開幕初日が当地の「恋人の日」と重なり、例年ならカップルの予約で満杯になるのに、今年は閑古鳥が鳴く始末…。「ブラジル代表の試合がある日はもちろん、期間中は客足がにぶい」と暗い表情だ。
 開幕前に話題になった、イタケロン競技場近くの自宅を改装し「賃料一カ月で約1800万円」というたぐいのW杯特需狙いの高額物件の多くは、結局借り手が付かなかったとの報道を読んだ。ホテル業界でも期待外れの地域があったとか。かと思えば、予想を遥かに超える外国人客で大繁盛した繁華街も。悲喜こもごもの声が町に響いている。(ニッケイ新聞 深沢正雪)