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バルボーザ長官が最終審理=賞賛と物議の最高裁人生

 5月29日に判事職引退を表明していた連邦最高裁のジョアキン・バルボーザ長官(59)は1日、最高裁での最後の審理を終えた。2日付伯字紙が報じている。
 最後の裁判は非公開で、バルボーザ長官は特に退任の挨拶をすることもなく審理を行なった。1日の審理は民主社会党(PSDB)から出た、スタジアム内でのマニフェスタソンを禁じている「ワールドカップ法」の条項は憲法の定める表現の自由に反しているのではないかとの訴えで、バルボーザ長官が票を投じる前に過半数の判事が同法はW杯期間中のマニフェスタソンの表現の自由を十分に保障しているとして、訴えを却下した。この裁判で同長官の最高裁での審理はすべて終了した。
 バルボーザ長官は2003年、当時のルーラ大統領から最高裁判事に任命され、歴代3人目の黒人の最高裁判事として11年間、その職責に就いた。12年に始まったメンサロン裁判では報告官をつとめ、有力政治家の多くを実刑に導いたことで国民的注目を受けた。また、同事件の公判中に長官に就任した。
 だが、同僚判事や被告弁護士との対立も恐れない言動はたびたび物議を醸した。1日の裁判で報告官をつとめたマルコ・アウレーリオ・メロ判事は「最高裁のイメージは近年損なわれた。元に戻るべきときだ」とバルボーザ長官批判ととれる発言を行なっている。
 バルボーザ長官は最後の審理後、「すごく身軽な気持ちで辞めることができる」とホッとした表情で語った。同長官は判事定年まであと11年残した上での引退で、政界進出も噂されているが、「政治は自分の人生であまり重要な意味を持たない」と語っている。
 後任にはメンサロン裁判時に幾度も対立したリカルド・レヴァンドウスキー副長官が就くが、バルボーザ長官は特に同副長官を攻撃するようなことは語らなかった。