ホーム | ブラジル国内ニュース(アーカイブ) | BRICS=全ての国に経済危機の恐れ=来週の首脳会議を前に=先進国回復と中国の減速=ブラジルのこれからの課題は?

BRICS=全ての国に経済危機の恐れ=来週の首脳会議を前に=先進国回復と中国の減速=ブラジルのこれからの課題は?

 7月15、16日にセアラー州フォルタレーザでBRICS首脳会議が行なわれるが、世界的な経済の減速で、BRICS5カ国を含む多くの新興国で政治的、司法的な安定を欠き、経済危機を招く可能性が高まっていると指摘する声があると5日付フォーリャ紙が報じている。

 世界の経済危機観測で最大の信頼を得ているコンサルタント会社AON社(英国)とロウビニ・グローバル・エコノミクス社(米国)が、世界163カ国を対象に、各国の経済状況を診断した結果が発表された。
 この調査では、経済政策の失敗や政府の干渉、債務不履行の危険などの経済リスクを6段階に分けて診断している。今回の調査でブラジルは、危機レベルの低い方から数えて3番目の「危険度中」にランクされたが、昨年の同調査では「危険度中の下」だったから、危険度のランクがひとつ上がったことになる。また、インドと南アフリカもブラジルと全く同じランクの移動を見せている。
 ブラジルよりも経済状況が悪いと判断されたのはロシアと中国で、共に「危険度中」から「危険度中の上」に上がった。
 なお、南米のベネズエラは、ウクライナ、イラン、イラク、スーダン、チャド、コンゴなどとともに、経済リスクが最も高い「危険度最高」に分類された。現在デフォルトの危機が囁かれているアルゼンチンは、2番目に危険度が高い「危険度高」に入っている。
 AONの商業と投資部門のコンサルタントであるキース・マーティン氏は、「米国をはじめとした先進国の経済の好転と中国の経済減速により、BRICSの経済状況が悪化した」とみている。
 同氏はさらに、ブラジルの状況について「安定した経済成長に戻るための再建が必要だが、その手がかりが見えない状況だ」と分析している。
 また、カトリック総合大学(PUC)サンパウロ市校のアントニオ・コレア・ラセルダ教授は、ブラジルが2013年に「投資の魅力がある国」のランクで4位から5位に下がったこと、またGDP(国内総生産)が世界第7位でありながら、輸出では21位に甘んじていることを問題点にあげている。
 「様々な問題はあっても、2025年、2030年を見通して、ブラジルを魅力的な投資先と考えている国は少なくない。ブラジルが今即座にしなければならないのは経済停滞からの脱却だ。だが、長期的な展望では量より質が大切で、高額商品の国内消費や高品質な品の輸出などを向上させていくことが必要だ」とラセルダ教授は語っている。
 今年のブラジルへの外国直接投資は500億~600億米ドルの見込みで、過去4年間で最も低くなるとの見方が出ている。
 また、米国の国際経済学の権威ジョンズ・ホプキンス大学のヴァリ・ナスル教授は7日付フォーリャ紙の取材で、BRICS諸国は「経済的に恵まれることばかりを望んでいる国の集まりで、経済危機のさなかに一致団結して協力しようとする態度が見られない」と苦言を呈している。