約18万人が来場し、大盛況だった県連日本祭の華やかな会場、その一角にはひそやかに将棋ブースがあった。手作りの凝った装飾で華やぐ折り紙や書道の体験教室が近くにあるだけに、机4台と将棋盤だけの無骨なブースには、どこか寂れた雰囲気が漂う。
「展示物や郷土食には興味が無いです」と将棋に熱中するのはニコラス・ジュン・カマダ・デ・トレドくん(16、二世、三段)と玉城パウロさん(78、二世、五段)だ。二人の勝負は、手に汗握る攻防と逆転の連続でたしかに面白い。しかし、それを楽しんでいるのはオーリャ子を含め、たった二人だけ…。
将棋研究会は将棋文化を当地へ残すため、今年から「将棋普及会」と名を変えた。でも、沢山のブラジル人が詰めかけた世界最大級の日本文化イベントを活用できないようでは〃敗着〃(敗因となった手)一直線だろう。(石)