パラグァイの畜産業は、特に牛肉生産の伝統は、植民地時代の古くに始まったもので、つい前世紀の半ば頃になって初めて輸出するまでに成長したものである。
そして最近30年間において飼料、衛生面や品種改良など飼育技術の画期的な向上により、パラグァイはEU・ヨーロッパ連合で世界有数の高級牛肉生産国として認められるに至った。
この好調な機運に連れて勢い食肉流通機構も改善された為に、パラグァイの飼育牛群は現在1千万頭を越す程に発展した。
この様な畜産業の成果により、今日パラグァイの食肉産業は正に歴史的発達期にあって、輸出記録を毎年更新しており、なお更なる成長が期待されるのである。
ちなみにその参考の一例として、2004年の牛肉輸出記録は1億3600万ドル強だったものが翌年の2005年には2億4600万ドルにも増えた。
食肉産業に密接に関連する皮革産業は〃セーム皮ウエットブルー〃の場合、皮革全輸出額の78%を占め、2004年度は金額にして6400万ドルに達している。
その主な輸出先は良い革製品加工技術で知られるイタリアやアルゼンチンである。なお、国産の皮革完成品は条件のうるさいアメリカ市場への手製のハンドバッグやポートフォリオ等の輸出に成功した。
パラグァイの国家経済の内で牧畜業界が意味するウエイトは、貴重な外貨稼ぎの役目以外に雇用の創出、工業、商業開発の連鎖効果に大いに寄与している事で、その近来の年間GDP・国民総生産に占める割合は平均7・9%である。
ブラジルの活発なパ国進出
かかるパラグァイの食肉産業部門に関わっている外資系企業にブラジルのJBSとMINERVA・FOODSの大手専門会社がある。これ等の2社はパラグァイのチルド精肉輸出の40%相当のシェアを担っている。
ブラジルで3位の地位に在る牛肉加工会社MINERVAは、パラグァイの有望性に着目し、近年パ国で意欲的に操業を拡大しつつあり、近い内にまた1億ドルの予算を以って新精肉冷蔵工場を建設する予定である。
この会社は既に同種工場を2カ所で稼動しており、一日に1200頭の牛を屠殺している。なお、この会社はパラグァイの有力な精肉冷蔵工場の一つ、FRIGOMERCを昨年買収した。
一方、JBSはパラグァイに2005年に進出した会社で、現在IPFSA (Industria Paraguaya Frigorífica)とFrigorífico San Antonioの2工場を運営している。
記録更新傾向の牛肉輸出
国立家畜品質衛生局(SENACSA)のデータによれば、今年上半期の動物源製品及び副産物の輸出実績は既に7億2160万ドルに達し、前年同期の輸出額6億8850万ドルに比べ4・8%の増加で、新記録を更新し続けている。
なお、同上半期の主なる畜産物の輸出量は昨年度同期の18万2600トンに対し今年は20万2300トンで10・7%の増加を新たに記録した。
この好調な畜産物輸出の推移を観察するに、今年は同部門の歴史的統計記録が全て破られる可能性が予想される。
昨年度の牧畜業界が国益にもたらした経済効果は、13億3300万ドルの前代未聞の高収益に見られ、パラグァイ食肉会議所の話では、これが更に今年は14億ドル強にも達しえる見通しだと言う。
なおパラグァイの食肉など畜産物の輸出先は世界の29カ国に及び、ロシア、チリ、ブラジルが筆頭大手買い付け国である。