W杯の決勝戦で自国を応援しようとリオデジャネイロまで押しかけたアルゼンチン人サポーターの一部に、帰るお金がなくなり、リオ市内にある同国領事館に泣きついている人達がいる。
13日の決勝戦前にリオ市内に押しかけたアルゼンチン人は10万人ともいわれ、サンバ会場にテントを張ったり、車の中で眠ったりした人も多かった。大半は入場券を持たないサポーターで、コパカバーナのファンフェスタ会場で応援する人が会場脇の大通りにまで溢れていた。
サンバ会場は15日までに明け渡すように指示が出ていたが、サポーターの一部は帰国するための金や食事代がなく、領事館に泣きついた。また、身分証明書をなくして領事館を訪れる例もあるという。
領事館の担当者によると、金がなくて帰れないと相談を持ちかけてきたサポーターは15日までに49人。領事館は一人ひとりから事情を聞き、バス代を支給するなどの措置をとっている。
W杯中に領事館に持ち込まれた相談で最も多いのは身分証明書類の紛失で、アルゼンチン人が書類その他の紛失や窃盗、強盗などでリオ市の警察に届け出た件数は12日までで294件。決勝戦当日やその後も同種の届出は増えており、領事館もコンピューターに入力しきれずにいるという。
領事館から旅費の支給を受けた一人はトラックの運転手のホセ・バッシさん(55)だ。息子と共にサンボドロモで寝ていたホセさんは、帰る時は乗せてやると約束してくれた人の車に帰国用の金と携帯電話を入れた荷物を積んでおいたが、寝ている間にその人達が出発してしまい、金も携帯電話もなくなってしまったという。領事館はパラナ州フォス・ド・イグアスまでのバスと軽食用にと30レアルを支給してくれたが、そこから先も国境を越え、ブエノス・アイレスまで約1200キロをバスで移動する必要がある。
アルゼンチンの領事館では13日から14日だけで175通の仮のパスポートを発行しているが、その数はまだまだ増える見込みだ。
盗難に遭ったり金を使い果たしたりして帰れない人達が頼りにするのは領事館だけではなく、リオ市市役所が路上生活者のために設けた社会福祉関係の事務所などを尋ねてくる人もいる。また、救援要請はアルゼンチン人からだけではなく、チリ人やボリビア人、コロンビア人らが、領事館などに援助を求めているという。(16日付フォーリャ紙、同日付G1サイトより)