5月に入ってから、またまたデモ(マニフェスタソン)が増えてきた。サンパウロ市内の目抜き通り、パウリスタ大通りでも15日午後7時から、今年幾度目かのW杯反対のデモが行われた。コンソラソン街の交差点に集合した一行の中には、工事作業員(W杯スタジアムの建設作業員か?)に扮して気勢をあげる者も。
現場へ赴いたのが開始直前とあってか、破壊行為は見られなかったものの、プラカードを掲げる者も多く独特の緊張感が漂っていた。
その同じ場所で1週前の4日、大規模なゲイパレードが開催されていた。大通り全体が仮装大会の会場に化したようにも見える祭典に、同性愛者やその賛同者が多数集結し、市内を練り歩いた。平和で、わきあいあいとした行進風景だったのが、どこか懐かしい感じすらした。
パウリスタ大通りは東京でいうところの丸の内か。オフィスビルが立ち並ぶ南米一のビジネス街だ。そんな通りをしょっちゅう通行止めにしてしまうから、普通はありえないだろう。それも長時間だ。東京の街中を通行禁止にするなんて、東京マラソンの時ぐらいで、区画、時間帯を決めて行う慎重な事態だ。
緊張と緩和が入り乱れる異様な数日――いずれのイベントにも共通していたのは「スリ・盗難の危険性」か。プロである彼らは群衆に紛れ、平気で獲物のポケットに手を滑り込ませる。本人も気づかぬ内に物品を頂戴するのだ。それを察した記者は、必要な分だけ写真を収め足早に現場を立ち去った。
デモ現場などの危険そうな雰囲気の場所は、ある程度、場慣れした人向け。興味本位で近づかないことをお薦めする。(祐)