バイア州内陸部アマルゴザで16日夜、犯罪者を追跡中の警官が犯罪者が逃げ込んだとされる家に向かって撃った弾で1歳の女児が死亡し、腹を立てた住民が、警察署と車、バイク、バスを次々に襲撃して放火するという事件が起きた。
人口4万人の町で起きた事件は、麻薬密売と関係して起きたと見られるバイク強盗を追跡中の警官2人の内の一人が撃った弾が、犯人らしき男が逃げ込んだ家の女児に当たり、病院に運んだが、病院到着前に息絶えたとされていた。
女児の死に怒った住民らは暴徒化。覆面を被った上で警察署を襲撃し、全ての武器を盗み出すと共に署内に拘束されていた犯罪者らを全員解放、署内の器物を破壊した上で火を放った。
暴徒化した住民らはそれだけで飽き足らず、バイク30台と乗用車18台、バス1台を次々に襲い、ひっくり返したりした上で放火。周囲の人々を脅したりまでする姿に驚いた住民の中には、巻き込まれないよう、電気を消して息を潜めていたという人達もいる。暴徒化した人々を恐れ、事態収拾を図ってもらおうとして警察に電話した人達は、暴徒化した人々を治めるだけの人数はいないと断られたともいう。
事態に驚いた州保安局は、市警警部や捜査官36人と第14署の軍警40人以上、軍警の突撃隊などを現地に派遣して治安の回復に努めている。
実際には、警察署が破壊されたため、警官や裁判官らも安全を確保するためにホテルに退避。補強のために派遣された警官らは状況が収まるのを待って各々の所属部隊に戻るが、同市の治安維持のためには、新たな軍警16人と市警6人を恒常的に派遣するという。
一報によれば、女児が死亡した時に警官に追われていたのは市内のパン屋で働く男性で、女児達が住む家の前で友人2人と話していたら黒い車が停まり、降りてきた男性がいきなり発砲してきたため、身をかがめたら弾が壁に当たった。それを見て女児達の住む家の中に駆け込んだら、更に2発撃ってきて、その1発が女児に当たったと証言している。その男性によれば、女児が撃たれた時、自分は中庭にいたが、女児の父親が助けを求めて叫んだため、警官が立ち去ったという。
その男性は17日朝、女児の死に怒る住民達が裁判所の前で行った抗議行動に参加し、「なぜ警官達がいきなり発砲してきたのか、皆目見当も付かない」と発言。抗議行動に参加した人々は「父親は正当な審判を求めている」「住民は怒っている」「我々は保護が必要だが、住民を殺したりする警官はまっぴらだ」などと書かれたプラカードを掲げていた。
犯罪者を追跡していたとされるのは市警と軍警各1人で、市警監察局の勧めに従い、サルバドール市内の監察局に出頭した。女児の死に繋がった弾が誰の銃から発射されたものかは鑑識が現在捜査中で、結果が出るまでの間、両者共、外勤からは外される。破壊行為に加わった人物の特定は、覆面を使用していたため困難だという。(17~18日付G1サイト、18日付エスタード紙、フォーリャ紙などより)