26日午前、「セン・テット」としても知られるホームレス労働者運動(MTST)が、サンパウロ市の三つの主要道の交通を遮断する大規模なデモ行進を行なった。これを受け、フェルナンド・ハダジ市長はサンパウロ市市議会に総合開発法案(プラノ・ジレトール)の変更を急がせ、大衆住宅建設を盛り込む意向だ。27日付伯字紙が報じている。
26日早朝に市南部を出たセン・テットたちは、西部を回ってブリガデイロ・ファリア・リマ大通りのラルゴ・ダ・バタタ高架橋に集合。午前8時50分頃、市役所に向かうデモ行進をはじめた。レボウサス大通りやコンソラソン通り、サンパウロ市議会所があるジャカレー高架橋を経て、市庁舎のあるお茶の水橋についたのは午前11時頃だ。
セン・テットたちは、「路上生活者が生まれるのは、ハダジ、あんたの責任だ」と拡声器を使って叫びながら行進し、さらにサッカーW杯の開催にも反対した。デモ行進が行なわれた道路は、交通工学公社(CET)により通行止めとなった。セン・テットの主張によるとデモ参加者は1万人だが、警備にあたった軍警はと3千人としている。軍警との衝突などは起きなかった。
行進の後、セン・テットたちの代表13人は市庁舎の市長室まで上がりこみ、そこでハダジ市長と約束を交した。同市長はマニフェスタソンの車の上に乗り、その約束をマイクで発表した。
ハダジ市長は車上で、市議会が公園予定地だった南部のノヴァ・パレスチナを社会事業向け特別ゾーン(Zeis)にすることを決めたら大衆住宅を建てることと、南部カンポ・リンポのドナ・デーダに不法侵入した人たちの強制立ち退きの取りやめを約束した。
ハダジ市長は今回のデモに乗じて、サンパウロ市議会にプラノ・ジレトールの改正案の承認を急がせる意向だ。改正案の最終案は同日、ナビル・ボンドゥキ市会議員(労働者党・PT)によって市議会に提出されており、5月中旬までには投票にかけられる見込だ。
ノヴァ・パレスチナはジルベルト・カサビ前市長の時代に公園建設予定地として確保されたが、6千平米にも及ぶ広大な敷地には現在までに8千人が不法侵入し、サンパウロ市最大級のファヴェーラとなっていた。ハダジ市長は公園建設を主張し、セン・テットの主張には反対しつづけてきた。
ノヴァ・パレスチナはアトランチカ森林やグラピランガ水系に隣接しており、今回のハダジ市長の決断に対し、サンパウロ市議員の間からは、「環境破壊につながるのでは」「住居ができることで(水源地が汚染され)水の供給を脅かすことはないか」などと不安視する声があがっている。