ニッケイ新聞 2012年1月3日付け
12月22日に起きた火災で延焼した、サンパウロ市中央部カンポス・エリゼオスにあるファヴェーラ・ド・モイーニョのビルの爆破が市の主導のもと1日夕方に行われたが、巨額の費用にもかかわらず全6階のうち2階分しか崩れず、4階分がそのまま残ってしまった。2日付伯字紙が報じた。
火災で2人の死亡者を出したこのビルは、火災以来倒壊の危険性を指摘されており、1日の爆破作業はカサビ市長立会いのもとで行われた。爆破に使用した爆薬は800キロにおよび、そのための経費は350万レアルが投じられた。ビルの1階と2階の260本の柱に2200個の穴を開けての爆破は17時35分に敢行されたが、破壊されたのは1階と2階だけで、その上の4階分は崩れることなく地上に残ってしまった。
爆破から1時間30分経過した後、カサビ市長は「今回の爆破はビルの破壊だけを意図したものではなく、あくまで2つの線路を確保するのが目的で行われた」とし、爆破が成功に終わったという見解を示した。
これを受け、火災以降運行が止まっていた同地区でのパウリスタ都電公社(CPTM)の7号線と8号線の運行は本日3日より再開され、貨物列車の運行も4日か5日には再開される見通しだという。
カサビ市長によるとビルの残り部分は今後15日以内に解体され、瓦礫も90日で撤去される予定だという。また、将来的には住民移転後のファヴェーラ跡地には公園を造る計画で、線路部分はトンネルにするという。