ニッケイ新聞 2012年1月13日付け
労働法改正で、勤務時間外の仕事としての携帯電話やメールのやりとりは残業として扱われる可能性が出てきたと12日付フォーリャ紙が報じている。
2011年末にジウマ大統領が裁可した改正労働法では、自宅勤務者などが携帯電話やメールで受けた指示は、職場で上司から直接受けた指示に準ずるとみなすため、同法の適用範囲を巡る波紋が広がってきている。
労働法の改正により、会社以外の場所や勤務時間外の会社との携帯電話やメールのやりとりは、時間外勤務として扱われることとなる。労働問題を専門とする弁護士のアパレシダ・ハシモト氏によると「従来の労働法は通信機器が現在のように発達していなかった1943年に作られたもの」とし、「携帯電話での会話がたとえ5分であったとしても仕事は仕事で、労働者にはその報酬を受け取る権利がある」と語っている。
この解釈を悪用することを懸念する企業も少なくはない。アルメイダ・アヂヴォガドスの労働問題担当者のルイス・フェルナンド・アロウシェ氏も、労働法改正後、複数の企業から相談を受けており、「メールや携帯電話の乱用や不正使用を恐れる企業には、勤務時間外でのメールや携帯電話の使用を禁じる会社の内規を作る事を勧めている」という。
フォーリャ紙が昨年11月に月給5千〜1万5千レアルの労働者1090人に行った調査によると、50%以上が休日も会社からのメールに応対していると答え、会社からの伝言が受け取れるよう、休日中も携帯電話を機能させている人は80%以上いたという。