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豪華客船が地中海で座礁=死者6人、行方不明者14人=ブラジル人乗客らも57人搭乗

ニッケイ新聞 2012年1月17日付け

 4千人以上の人を乗せた豪華客船がイタリア近海で13日夜座礁し、死者・行方不明者を出す惨事となった。この船には57人のブラジル人が搭乗していた。15〜16日付伯字紙が報じている。
 転覆したのはコスタ・コンコルディア号で、全長290メートル、重さ11万4500トンの大型豪華客船には、世界各国からの乗客乗員4229人が乗っていた。この船は、イタリアのチヴィタヴェッキア港から発着し、フランスのマルセイユやスペインのバルセロナ、イタリアのパレルモなどを7日間かけて回る地中海一周のクルーズ旅行船だった。
 事故が起きたのは現地時間の13日午後9時40分頃。イタリア北部のチヴィタヴェッキア港を出て夕食が振舞われていた最中、大きな揺れが船を襲った。乗務員は当初乗客に「電気の異常が起きた」と発表し、なおも運行を続行しようとしたが、船体の左側を岩礁に激しくぶつけた船は浸水が始まり、すぐそばにあるジリオ島の東部海岸から100メートルほどの浅瀬に乗り上げ、右側に傾く形で横転した。
 乗務員は乗客をデッキに導き救命ボートで乗客を脱出させたが、16日朝の時点でフランス人3人、イタリア人1人、スペイン人1人の5人の乗客と、ペルー人乗務員1人の計6人の死亡が確認され、14人が行方不明となっている。死亡者には高齢者が目立った。
 この船にはブラジルからも57人の乗客乗員が搭乗していた。真冬の海水の冷たさと恐怖でショックを受けた乗客らはジリオ島の宿泊施設などに運ばれたが、施設が足らず、フォルタレーザからの客のように、教会で一夜を過ごした人たちもいた。
 また、パスポートなどの身分証明書を船の係員に預けていたため、ミラノにあるブラジル大使館が対応に追われているが、南大河州の乗客11人は、15日に無事に帰伯したという。日本人乗客は43人。乗客乗員数がもっとも多かったのはイタリア人の989人だった。
 また、同船の船長フランチェスコ・スケッチーノ容疑者が、業務過失致死ならびに、乗客を救出中であったにもかかわらず、乗客を放棄して逃走した容疑で逮捕された。
 船舶の専門家は、同船が2006年に造られた最新鋭の機種であったことに加え、なぜ危険を承知のうえでジリオ島に接近するような針路を取ったのかを疑問視している。