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市長選で退任のハダジ氏支援=闘病中のルーラも会場に=大統領はENEM問題擁護=サンパウロ州のPSDB地盤打倒へ

ニッケイ新聞 2012年1月27日付け

 サンパウロ市市長選出馬のためのフェルナンド・ハダジ氏の教育相退任に伴う後任閣僚の就任式が24日に大統領府で行われ、癌闘病中のルーラ前大統領も出席、ハダジ氏の退陣に花を添えた。25日付伯字紙が報じている。

 新教育相にはアロイジオ・メルカダンテ科学技術相、新科学技術相にはマルコ・アントニオ・ラウップ宇宙開発庁長官が就任したが、退任・就任式は、ルーラ氏登場で、労働者党(PT)によるハダジ氏のサンパウロ市長選挙へのプレ祝賀式の色合いが濃厚となった。
 退任・就任の場で話題をさらったのは、喉頭ガンで放射線療法中であるにもかかわらず、姿を現したルーラ氏だった。癌発覚後初の公の場登場には割れんばかりのルーラ・コールが起き、前大統領が帽子を取って剃り上げた頭を見せると拍手喝采が湧き起こった。
 ルーラ氏が演説を行うことはなかったが、式の中で行われた演説のすべてにルーラ氏の名前が登場するなど、ハダジ氏をPTからのサンパウロ市市長候補へ直々に指名したルーラ氏の影響力の大きさを物語った。
 ジウマ大統領は、北東部での教育改革など自身の教育政策持論を述べつつ、現在、国家高等教育試験(ENEM)の作文の採点問題で批判を浴びているハダジ氏を擁護。「試行錯誤の中、認めないといけない過ちもありはしたが、そうした過ちを乗りこえ、より良いものを生み出して行ける人物」とハダジ氏を称え、教育相としての7年間の任務をねぎらった。
 ハダジ氏はプレ祝賀会との印象を弱めるため、「新閣僚の就任式にルーラ氏を迎えることができたのは光栄」と感極まった様子で述べた。ルーラ氏と大統領に市長選出馬を断念させられたマルタ氏の欠席については「マルタ抜きの選挙戦など考えがたい。彼女は党の一員であり、市長選を勝ち抜くには絶対に必要な存在だから」とし、元市長への敬意を表した。
 側近によるとマルタ氏は休暇中とのことだが、ブラジリアへの航空券を抑えてはいたが、式の時間が午前から午後に変更されたため、行かなかったという説もある。
 ハダジ氏へのルーラ氏とジウマ大統領のバックアップは、サンパウロ州における民主社会党(PSDB)の地盤崩しへの強い意欲の現れと見られている。教育相の後任のメルカダンテ氏も2014年のサンパウロ州知事選挙への出馬が予想されている。
 一方、ガブリエル・シャリッタ氏をサンパウロ市市長選候補に擁立している民主運動党(PMDB)は、マルタ氏とは対照的に、テメル副大統領とサルネイ上院議長が参列し、ハダジ氏を称えた。
 また、25日のサンパウロ市市制記念日はハダジ氏の49回目の誕生日だったが、ハダジ氏はカサビ市長が申し出た誕生会を断り家族と過ごした。