リオ市=セントロでビルが崩壊=9・11と見まごう光景=一夜明け遺体回収も始まる
ニッケイ新聞 2012年1月27日付け
25日夜、リオ市セントロの市立劇場に隣接するビル三つが、大音響の後に突如崩壊。同日中に負傷者6人が病院に運ばれ、26日には遺体の回収も始まったと、25、26日付ブラジルメディアが報じている。
13・デ・マイオ大通りにある20階建てビルが米国で9・11の双子ビルさながらの様相で崩れ落ちたのは、25日夜8時半ごろ。何かが破裂したような音の後、一瞬にして瓦礫の山と化したビルは、隣の4階建てとその隣の10階建てビルも道連れにした。
オバマ米大統領が来伯時に演説を行った市立劇場は、付属施設の券売所の損傷のみで済んだが、普段なら夜になっても人通りの絶えない地域は、突然の事故に驚き逃げ惑う人々と土煙に覆いつくされ、消防や防災局による地区封鎖と停電、ガスの供給停止は26日も続いている。
20階建てビルが閉まるのは夜9時のため仕事や研修でビル内に残っていた人も多く、エレベーターに乗り込んだ直後に大音響と揺れを感じ、地上階で天井を見たらコンクリート片などが落ちてき始めたため、慌てて駆け出して九死に一生を得た人、希望階でエレベーターを降りようとしたら上から何か落ちてきたのが見えてエレベーター内に戻り、瓦礫の中に閉じ込められたがほぼ無傷で救出された大工助手、大通りに乗入れた直後に土煙に包まれたタクシー運転手など、あわやの世界の人々も多数。
病院に運ばれた人の中には、消防の救出作業を手伝っていてケガをした男性も含まれており、頭蓋骨骨折で手術を受けた女性ら3人が27日昼の時点でも入院中だ。
レストランからと見られる火災も起きた現場には、自分は一足先に帰ったために助かったが残業で残った妻と連絡が取れなくなったと心配顔の男性、妻との電話が突然切れ、異変を感じて駆けつけた人、ニュースで事故の事を知り病院でも家族の消息が掴めず現場に戻った人などが集まり、救出作業を見守った。
26日朝の時点で19人が行方不明と発表された現場では、警察犬やハイチでの地震処理でも活躍したベテランら、複数地区からの消防士を投入した救出作業が続いており、26日午前中、3人の遺体が回収された。
事故の原因は調査中だが、ガス爆発の可能性は低く、酸性雨が滲みこむなどで構造部分の損傷が進んでいた、最初に倒壊したビル内2カ所で行われていた改修工事の影響などが疑われている。地方建築・工学・農業技師協議会(Crea)によれば、改修工事は正式な届けが出ておらず、違法であるという。