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人事問題で亀裂が広がる?=PMDB内に報復機運=干害対策工事局長辞任で=汚職告発・浄化はどこまで

ニッケイ新聞 2012年1月28日付け

 国家統合省干害対策工事局(Dnocs)のエリアス・フェルナンデス・ネット局長の辞任が決まり、ジウマ政権に対する民主運動党(PMDB)内の不満が高まっていると27日付伯字紙が報じた。26日付G1サイトによれば、Dnocsの役員更迭はここ2カ月で3人目だ。

 汚職疑惑で告発された大臣は温存したのに、PMDB所属の局長には弁解の余地も与えない—。ジウマ大統領の意向に従う形でDnocsのネット氏が26日に辞意を表明し、同党内に報復機運が高まったとまで表現したのはフォーリャ紙だ。
 ネット氏の辞任は自分の出身州に優先的に予算を支出したという告発に基づくもので、同氏の政界親であるPMDB下院リーダー、エンリケ・エドゥアルド・アウヴェス氏が、更迭を避けようとして行った発言が、却ってその時期を早めたとエスタード紙はいう。
 国家統合省といえば、同省が2011年に支出承認した防災対策費の9割が、フェルナンド・ベゼーラ・コエーリョ統合相の出身州のペルナンブコに流れていたとして新聞沙汰になった事が記憶に新しいが、そのお膝元であるDnocsでも同様の疑惑が生じ、局長擁護に乗り出したのがアウヴェス下議だ。
 同下議にしてみれば、フェルナンド・ピメンテウ商工開発相やベゼーラ国家統合相、パウロ・ベルナルド通信相らを巡る疑惑告発の時は、自己弁護の機会を与え、温存策をとった政府が、最大連立与党のPMDB党員には同じ権利を認めようとしないとの不満は当然だが、更迭という事になれば議会で報復との発言が大統領を怒らせた。
 事態収拾を命じられたグレイシー・ホフマン官房長官は統合相に善後策を採るよう求めたが、その統合相が助けを求めたのがPMDBのミシェル・テメル副大統領。
 官房長官やイデリ・サウヴァッチ省庁調整担当長官からも助けを請われた副大統領が、アウヴェス下議と話合い、大統領を脅すのは間違いとさとした後の24日、国庫庁がDnocsを巡る不正な金の動きは3億1200万レアルとの報告を提出。アウヴェス下議も局長更迭は避けられないと判断したという。
 縁故採用、入札や予算支出で便宜を図る、贈収賄などの告発が引きも切らない政界だが、Dnocsでは昨年12月にインフラ担当理事、今月23日にも会計担当理事と役員更迭が続き、組閣再編成の一環としての人事異動以上とも見える動きを見せている。
 アウヴェス下議やPMDB議員の造反を恐れる政府は、ネット氏の後任選出をアウヴェス下議に委ねたというが、汚職疑惑の生じた閣僚擁護にはこれ以上手を貸さないとの発言も出始めた最大与党との関係を上手く修復できるかは、議会が再開される2月以降の政局運営にも影響する。