ニッケイ新聞 2012年1月31日付け
世界的な経済危機と国内経済の伸張を反映し、欧米日などの国外に住むブラジル人からの仕送りが減少する一方で、国内に住む外国人が本国に送金する額が増えていると29日付伯字紙が報じている。
2008年のリーマンショック以降、国外から国内への仕送り送金が減少しているが、それとは対照的に、国内に住む外国人による国外への仕送りが急増している。
2011年の国内への送金は19億7千万ドルで、国外への送金は8億1千万ドル。これだけ見れば国外送金はまだ少なそうだが、2006年に29億ドル、08年には29億1千万ドルを記録した国内への送金が20億ドルを割ったのは、2002年の17億1千万ドル以来の事だ。
国内への送金は、米国や日本、欧州からのデカセギによるもので、08年の国際的な金融危機勃発後の送金額の減少は、帰国者の増加や国外滞在者の収入が減少している事などを反映している。
端的な例は日本からの送金で、1995年から爆発的に増えたデカセギは、家族を養う、家や車の購入などの目的で仕送りを続けてきた。
ところが、ここ3年のデカセギの数は、金融危機や東日本大震災などの影響で31万1千人から23万1千人に減り、2011年の仕送りは3年前から60%減の2億8900万ドル。
同様の傾向は米国でも起きており、08年には1500万人いたブラジル人は1200万人に減り、昨年の送金も3年前より53%少ない6億300万ドルに止まった。
欧州のブラジル人も、英国は25万人が18万人、スペインは15万人が14万人、ポルトガルは16万人が13万5千人のように推移。昨年表面化した経済危機は今年さらに悪化するとの見方が一般的で、ブラジル人の数や送金も減ると見られている。
一方、ボリビアでは、07年1〜9月は11番目だったブラジルからの送金が昨年は4位になり、その額も986%増の3150万ドルに達した。
サンパウロ市ブラス区でレストランを営むホルヘ・メルヴィアさんも国外送金者の1人で、ラパスに住む姉妹からタクシーの修理に現地では一か月の収入に相当する200ドルが要るとの電話を受け即送金。ボリビア人やペルー人、パラグアイ人は、2〜3カ月毎に400〜600ドルの仕送りをしている人が多いようだ。
エクアドルの場合、07年の24位が21位に変わったのみだが、送金額そのものは596%も増えているという。
昨年はブラジルでも経済が減速化したため、国外送金額は2010年の8億5500万ドルより少し減ったが、国内送金と国外送金の比率は2・4対1で2010年と同じ。1995年は24・8対1、2003年、04年は14・9対1と14・8対1だった比率が大幅に縮小しており、国外送金の割合が増してきた事を如実に表している。