ニッケイ新聞 2012年1月31日付け
国庫庁(CGU)の調査で、国の政策に基づいた住宅建設契約のうち、7割が実行に移されていないことが明らかとなった。30日付エスタード紙が報じている。
CGUの調査対象は、連邦予算が州や市に配分され、自治省の全国住宅局(SNH)が確認済みの住宅建設契約。2004年〜11年4月に結ばれた建設契約は4243件で、総額125億レアルの予算も充てられていたが、計画が実行されているのは26%の1103件に過ぎなかった。
残り3140件の内訳を見てみると、2010年に契約が成立したが工事が始まってないもの472件、2010年より前の契約で工事が開始されていないもの1378件、計画が遅れているもの697件、中止となった計画593件となっている。このリストには、ジウマ大統領が推し進めている住宅計画「ミーニャ・カーザ、ミーニャ・ヴィダ」によるものは含まれていない。
イネス・マガリャエスSNH局長は、問題のある計画が多いことを認めた上、実行が遅れているのはファヴェーラでの工事、それも、古い契約に多いという。計画実行は国からの予算を受けた州や市が担当するが、入札や環境許可取得、整地作業に時間がかかるほか、自治体毎のインフラ整備のいかんによっても左右される。だが「2011年は改善している」と同氏は語っている。
また、「ミーニャ・カーザ、ミーニャ・ヴィダ」関連の昨年度の政府支出は75億レアルだったが、そのうち69億レアルはそれ以前に契約が結ばれていた住宅の建設費。つまり、2011年の同計画には126億5千万レアルの予算が充てられていたにもかかわらず、5億9890万レアルしか使わなかったことになる。この計画で昨年12月31日までに契約が結ばれた住宅は146万2千軒で、工事が完了したのは71万9522軒。54万883軒で居住がはじまっている。
「ミーニャ・カーザ、ミーニャ・ヴィダ」計画に関しては、土地や家屋が値上がりし「最賃三つまでの人向けの家が用意できない」状態で、現状の政府予算では2012年も同じ状態が続くとの見方が強い。アルキミンサンパウロ州知事とジウマ大統領が今月結んだ3最賃の家族向け9万7千戸の建設契約では、一戸当たりの上限額6万5千レアルに州が2万レアルを上乗せすることになっている。
連邦政府にもっと予算を割くことを求める声もあるが、上限引上げや建設業界への減税の動きはなく、マガリャエスSNH局長も「変動する住宅相場にあわせて政策をその都度変更することは出来ない」と否定的見解を示している。