ニッケイ新聞 2012年2月8日付け
6日夜、サンパウロ州ABC地区のサンベルナルド・ド・カンポ市で、ビル最上階の床が崩れ、地階まで貫通する穴が開き、女児が死亡、負傷者もでる事故が発生した。7日付伯字紙が報じている。
崩壊したのは同市中心部にあるビル「エジフィシオ・セナドール」で、6日午後7時45分頃、最上階である14階のコンクリートの床板の一部が崩れ落ち、全ての階を貫通する形で地面まで落下した。貫通したのは各階の末尾番号4番の部屋だった。
この事故により、6歳のジュリア・モラエスちゃんが死亡した。ジュリアちゃんは7階にある血液循環科で受診中の母親を、父親と共に待合室で待っていたという。また、母親は無事だったが父親はこの事故で負傷。看護師のパトリシア・アウヴェスさん(25)が行方不明となった。
7日朝の時点で負傷者は計8人と発表されており、それぞれが救急病院で手当てを受けた。また、地上階のレストランにいた4人が瓦礫の下敷きになっているとの報告もあったが、消防署の救助隊は現在のところ確認していない。
血液循環科の女医によると、床崩壊が起きたのは電車がビルの側を通り抜けた時だったという。また、ビルの外にいた人の証言によると、大きな物音がしたあと、最初にコンクリート片が落ちてきて、その後はビルの窓や冷暖房装置が落下してきたという。
このエジシフィオ・セナドールは、サンベルナルド・ド・カンポ市役所もある広場にほど近い場所にある。全14階建ての商用ビルで、74の部屋には経営者の事務所や医療機関などが入っており、地上階にはレストランや登記所もある。築30〜40年の古いビルだが、同ビルの管理人を10年勤めているラウラ・サレーラさん(69)は、「定期的にメンテナンスを行っていた」として、管理の不行き届けを否定している。
これで1月25日に17人の犠牲者を出したリオデジャネイロ市中心部でのビル崩壊事故に続く、都市部での建物破損事故となったが、リオ市での事故を受け、カサビサンパウロ市市長はサンパウロ市で築5年以上、500平米以上の商用ビルに5年毎の監査報告を義務付ける法案の復活を決めた。同法案は2009年に承認されたが、市の監視権限が失われることを懸念したカサビ市長が裁可を拒否していた。市長の意向を受けた市議会が今月中に法案を審議すれば、3月か4月に発効の見込みだ。