ニッケイ新聞 2012年2月8日付け
サンパウロ市のクンビッカ空港で乗客の旅行カバンを盗んでいたグループが6日に逮捕された。その中には航空会社の職員も含まれていた。7日付伯字紙が報じた。
逮捕されたのは空港の委託職員4人と元職員2人の6人(男4人、女2人)で、いずれも20〜27歳の若者で、中流家庭の出身者。グループは勤務時間外に計画的に窃盗を行い、犯罪歴は5カ月以上に及んでいたという。この犯行グループがどの航空会社に所属していたかなどの情報は明らかにされていない。
犯行グループが狙っていた荷物の多くは、米国からの国際線で到着し他の空港へ行く乗り継ぎ客のものだった。犯行の手順としては、国際線の便が到着した時点で荷物配送担当職員のAが職員Bに連絡を入れ、中継所に行くはずの旅行カバンを国内線用の荷物受け取りコンベアーに置き換える。それは国内線の方が国際線より出口での荷物チェックが甘いからで、その荷物は乗客を装った別の犯罪者が受け取る、という流れだ。旅行者の土産ものは、メンバーの1人の恋人女性によって売りに出されていた。
警察の調べによると、このグループは既に20以上の旅行カバンを盗んでいたといい、衣類や香水、iPadなどの電化製品も含まれていた。中には、白血病の我が子のために父親が買ってきたおもちゃが入ったカバンまであったという。
警察によると、これらの犯罪は盗難の届け出がサンパウロ市以外の都市で起こっていたために解明するのが難しかったという。警察は現在、荷物の照合を行い、持ち主のところにカバンを早く戻すようにつとめているという。
クンビッカ空港は昨年11月にも、チェックインカウンターでスリを働いた4人のコロンビア人や、ペルー人やアルゼンチン人を含む5人の窃盗団が逮捕されるなど、盗難被害が目立っている。