ニッケイ新聞 2012年2月10日付け
国内主要3空港の入札をうけ、フェルナンド・エンリッケ・カルドーゾ元大統領(民主社会党:PSDB)が「空港民営化は国内の政治・経済が成熟してきた証拠」との見解を示し、改めて民営化を擁護した。9日付伯字紙が報じている。
元大統領はインターネット上で、6日に行われたグアルーリョス、ヴィラコッポス、ブラジリア3空港の入札によって、「民営化が悪魔の行為でないことが明らかになった」とした。
この発言は、自身の大統領任期中や2010年の大統領選の際、労働者党(PT)が民営化を批判するために使った表現を引用したもので、「民営化は政党の主義・主張の問題ではなく、効率やサービスの改善、活用できる資金拡大など、その時々の状況によって判断されるべきものだ。今は空港の民営化が可能なほどにブラジルが成熟したということだ」と語った。
PSDBはPTが民営化を真似したと主張しており、元大統領も、ジウマ政権による入札でも社会開発銀行(BNDES)が資金面で協力し、社会福祉ファンドが入札に参加という類似点を指摘。また、自身の任期時に実現させたテレフォニカやヴァーレの民営化を含む、歴代政権での民営化も改めて肯定した。
PSDBによるPTの空港入札批判はここ数日高まっていた。ジョゼ・セーラ元サンパウロ州知事は7日、自身が出馬した2010年の大統領選の際、PTに空港民営化政策を悪魔呼ばわりされたことを皮肉り、「PTは何の説明もなく180度方針転換した」とツィッターを通じて批判。同日、セルジオ・ゲーラ党首も「国民を騙す公約違反だ」と批判のコメントを出した。
これに対し、PTのウンベルト・コスタ副党首は「PSDBが電話を民営化したときと違い、こちらは段階を踏んだ委譲だ。今は2014年のワールドカップ開催に向けて十分な空港作りを行うのに必要なことをやっているのであり、国の資産そのものを売り渡したわけではない」と、その違いを強調した。
また、10日にブラジリアで行われるPTの党会議を前にした8日、PTのリンドベルク・ファリアス上院議員とPSDBのアエシオ・ネーヴェス上院議員が会談を行った。その席でリンドベルク氏が、改めて空港入札は「民営化」ではなく「委譲」であると説明しようとした際、「PTによる民営化はブラジルの歴史で最も成功したもののひとつだ」と口を滑らした。それに対しアエシオ氏は「PSDBの考えを踏襲してくれるのはいいことだ。将来は一緒にやれるかもね」と皮肉交じりに返した。