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入品の毛布で不正発覚=南米産というが中国製=本国より安い値段で販売=キロ5ドル余を追徴課税

ニッケイ新聞 2012年2月16日付け

 ブラジル政府が14日、ウルグアイやパラグアイを経由して入ってくる中国製の毛布に対し、キロ当たり5・22ドルの追徴課税を行う事を決めたと15日付エスタード紙などが報じた。ダンピング防止のための追徴課税が、他国経由の品に適用されたのは初めてだ。

 11年の貿易総額が770億ドルに上るブラジルと中国。だが、両国間の貿易額が増えるほど国内企業からの苦情も増えており、今回は、ブラジル内で製品に仕上げるための合成繊維の毛足の長い生地への課税率も96・6%引き上げられた。
 中国製品は、本国での人件費が安い事やドル安などで、ブラジルの国産品より安いケースが多いが、その品がより競合性を持つよう、本国より安い値段で売る不当廉売(ダンピング)は、世界各国で禁止されている。
 ダンピングの疑いがある中国製品への追徴課税処置は37回もとられており、中国産の毛布も2010年4月に追徴課税の対照とされた。
 ところが、このダンピング防止策の裏をかいたのが、ウルグアイやパラグアイに材料を輸出し、完成品に仕立てた上、南米産と称してブラジルに売り込むというやり方だ。
 南米諸国から輸入したが実は中国製という毛布の存在は、毛布製造業者のJolitexが2011年2月に、中国産の合成繊維を使った毛足の長い生地や、同じ生地を使ったウルグアイやパラグアイからの毛布輸入が増えていると訴えた事で調査が始まり発覚。
 ウルグアイとパラグアイからの毛布輸入は、09年に始まった。最初は微々たる量だったが、10年には各々163%と217%増え、11年には実に15倍と20倍になっている。調査開始後の毛布の輸入は、事前の申請が必要となり、最長60日をかけた審査の上で行われていた。
 また、ウルグアイやパラグアイでの毛布製造にも使われている合成繊維の生地は、国内での毛布製造にも使われており、その輸入量は、09年の2188トンが10年には4924トンのように急増している。
 今回の追徴課税の対象は毛布と生地だが、ブラジル政府はさらに、インドネシアやベトナム経由で輸入されている靴類へのダンピング防止策適用を検討中だ。
 中国製の革靴やスポーツシューズへの追徴課税は2010年3月に始まり、一足につき13・85ドルを徴収。これを避けるために中国側がとった処置は、甲や靴底などの部品を持ち込み、ブラジル内で仕上げる方法と、インドネシアやベトナムに材料を輸出し、完成品に仕立てた上で売り込む方法。インドネシアとベトナムはブラジルへの主要な靴輸出国となっている。
 いずれにしても、毛布同様に不当廉売の疑いが濃く、関係が明白になった時点で追徴課税の対象とされる見込みだ。