ニッケイ新聞 2012年2月18日付け
10年6月にルーラ前大統領が裁可したフィッシャ・リンパ法の合法性などが16日の最高裁で認められ、今年10月の市長・市議選から適用される事になったと17日付伯字紙が報じた。130万人の署名に後押しされて成立した法案が遂に機能し始める。
この法律は、公的な場でまかり通る不正に飽き飽きし、疲れきった庶民が生み出した実—。09年9月に国会提出、大統領裁可後も適用が見送られてきたフィッシャ・リンパ法を、カルロス・アイレス・ブリット最高裁副長官はこう評した。
フィッシャ・リンパ法は、選挙への立候補者が国民の代表としてふさわしいか否かを事前に判断する基準となり、公的機関の集団審査で有罪、不適格と判断された人物や処罰を避けるために辞任した人物の出馬を禁じる。処罰終了後の出馬禁止期間も、従来の3年が8年に延長される。
選挙戦の候補者選びは各政党の責任のもとで行われるが、これまでは、経験が豊富、知名度が高いその他の理由で、倫理面や行状面で問題がある候補も選ばれて出馬。当選後に不正が摘発されれば職権剥奪などの処罰を避けるために辞任し、次の選挙に再出馬という例も多かった。
政界を取り巻く不正といえば真っ先に思い出されるのは贈収賄や公金横領、職権乱用の類だが、選挙戦での票の売買や資金洗浄(マネーロンダリング)、環境法違反も含む公的資産損壊などで有罪とされた場合も、出馬禁止の対象となる。
また、市長などを務めた時の会計が会計検査院の審査を通らなかった場合や、医師や弁護士などが倫理面などでその職責にふさわしからぬ事を行い、所属団体によって資格を剥奪された場合も、裁判所での有罪判決と同等の扱いとなる。各機関の審査内容を不服として上告中であっても、出馬は認められない。
10年の統一選では、大統領裁可の前までさかのぼって適用かなど、いくつかの点が不明瞭で、立候補したが選挙高裁が出馬資格を認めなかった例や、資格の有無を疑問視されながら立候補して当選した例などもあったが、今後は、10年6月以降に有罪または不適格とされた人物や刑期終了から8年以内の人物の出馬は認められない。
様々な不正がまかり通り、関与した人物も容易に政界に復帰、高給でのうのうと過ごし有給休暇は庶民の2倍といった政治の世界を不服とする庶民が、清浄な政界や候補への望みを込めたフィッシャ・リンパ法。同法適用の具体例としては、06年の選挙で上議となったが、議員権剥奪を避けるため07年辞任のジョアキン・ロリス連邦直轄区元知事が23年まで出馬不能などがあり、政界浄化システムとしての機能に庶民の期待がかかっている。