ニッケイ新聞 2012年2月23日付け
欧州の経済危機は長引きそうな気配を見せているが、ブラジル経済が減速化し始めていた11年8月も中国並みの成長を見せていた北東伯も、危機とは無縁ではいられなかったと22日付フォーリャ紙が報じた。
欧州経済危機の影響でブラジルでも経済減速化がおき始めた11年8月、北東伯は6%の経済成長を記録した。ところが、12月末の北東伯の経済成長率は約2%ポイント下がり4・4%。全国平均の2・7%や、11月までの南東伯の4・1%を上回ってはいるが、〃ブラジルの虎〃と称されていた北東伯も、危機の影響を免れきれなかった。
米国でのサブプライムショックやリーマンショックを発端とする国際的な金融危機をいち早く抜け出したブラジルだが、今回の欧州経済危機の影響で、年5%以上が目標だった11年の経済成長は全国で2・7%、北東伯でも4・4%との数字は中銀の統計だ。
ギリシャの債務不履行を避けるためにEUなどが発表した支援策は、証券市場を一時好転させたが、その後、あの支援策では不充分との見方が広がり再度下落。
EUでは更なる追加支援策を検討中だが、国内の富の再分配と生活扶助などの普及で購買力がついてきたとされる北東伯は、最低賃金一つ以下の労働者が59・7%で、南東伯の23・2%や全国平均の33・7%を大きく上回る。
そのため、11年の最賃が実質0・37%の上昇にとどまった事、サンフランシスコ川の疎水工事や南北鉄道といった経済活性化計画に基づく事業も停滞し、雇用創出が前年比33%減だった事などが響き、11年12月の商業の伸びは、最悪だったセルジッピが0・01%、最良だったペルナンブコでも5・86%と、全国平均の6・61%を下回った。
労働者の質の向上には時間がかかるが、それでも、最賃のインフレ以上の調整に大統領によるサンフランシスコの疎水工事再開の約束、ペルナンブコでのフィアット社の工場建設、マラニョンとセアラでの石油開発などの朗報もあり、成長に転じたら、全国平均を上回る伸びを見せると見られているのも北東伯だ。
一方、危機の影響を別の視点から報じた22日同紙付の記事によれば、ブラジル人が多い事で知られた米国ニュージャージー州ニューアーク市では、店を閉め、帰伯する人が続出し、ブラジル人数は09年の3万6108人が10年には3万489人にと16%減少。米国では不法滞在で検挙される人の数も減少中だ。
一方、21日付同紙転載のニューヨークタイムス紙記事は、金融やコモディティを扱い、危機と無縁のブラジル人がニューヨークで高級アパートを購入するなど、米国旅行で数千ドルを費やし、お得意さん扱いのブラジル人の姿と重なる報道も見られた。